絵本作家の現状と将来性

出版業界における絵本の現状

1997年をピークに、書籍や雑誌の販売高は減少の一途をたどっています。

とくに近年はインターネットやスマートフォン、タブレット端末の普及により、書籍離れが深刻化。ある大学の調査では、全体の53%が1日の平均読書時間を「ゼロ」と答えたことが発表されました。

このような出版業界全体の低迷の中、絵本に追い討ちをかけるのが日本で深刻化している少子化問題です。

子どもの絶対数が減少していく限り、子ども向け絵本というジャンルも縮小を余儀なくされるでしょう。

「大人向け絵本」という新たなジャンル

海外の絵本はおしゃれなイメージから、子ども、大人を問わず安定した人気を得ています。

文章が少ないため、わからない言葉を調べながら読んでもそれほど苦にはならないことも、受け入れられた要因のひとつでしょう。

また、昔、親に読み聞かせてもらった絵本を大人になってから読み直すと、新たな発見や感動を覚えることがあります。絵本は大人のためにも存在しているといえるのです。

絵本を児童文学や、子どもを寝かしたり機嫌を直したりするための道具だと考えていた時代のままなら、少子化による影響を受けて廃れていくばかりです。

しかし全世代へ向けたひとつのアートのジャンルとして捉えれば、これからまだまだ伸び代はあるといえます。

書籍離れが深刻化する、活字が苦手な若い大人世代にも、文章が少なくアート性が高い絵本作品なら受け入れられる可能性が高いと考えられるでしょう。

絵本作家の将来性

絵本は出版業界において、もっとも一度の発行部数が少ない書籍のひとつです。

国内で作られた絵本で100万部以上のヒットを飛ばしているのは、メディアに取り上げられるなどの一時的な人気だけでなく、その後何年も売れ続け、定番化された作品に限られます。

現在「絵本作家」という職業だけで生活が成り立っている人は、ごく一部の大御所だけといっても過言ではありません。

厳しいようですが、イラストや挿絵の仕事を兼業しない限り、絵本作家に将来性は望めないのが現状です。