電力会社の年収・給料はいくら? ボーナスでもらえる額は?

電力会社の仕事は、地域に密着しているため、地域に貢献できるというメリットがある一方で、近年では原子力発電所事故や電力自由化などこれまでにないリスクも見られるようになりました。

ここでは大手電力会社を中心に、電力会社員の給料や年収について、具体的な数字とともに解説していきます。

電力会社社員の平均年収・給料の統計データ

電力業界は安定した需要が見込まれるため、安定した就職先とされてきました。

電力自由化によって競争が激化するといわれていますが、社会生活に不可欠なインフラを扱っているため基本的には安定した業界であり続けます。

そのため電力会社社員の待遇もほかの業種に比べ、比較的高い水準が続くと予想され、福利厚生の充実はもちろん、給料面でも充実しているといえるでしょう。

電力会社社員の平均年収・月収・ボーナス

一般的に電力業界は安定したイメージがあり、給与面での待遇も高めです。

まず業界をリードする大手10社、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の給与の平均を見ていきます。

有価証券報告書(2019年度)によると10社の平均年間給与は約760万円でした。

東京商工リサーチが調査した上場企業の平均年間給与は約630万円という結果になっており、約130万円も高いのが分かります。

国税庁が発表している民間企業の平均年間給与は約440万円で、約320万円もの開きがあることから一般的なイメージの通り、待遇のよい業界であるのが分かります。

ちなみに電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)が公表している加盟組合の平均年間賞与は約153万円でした。

単純計算ですのであくまでも参考となりますが、大手10社の平均年収から153万円をマイナスして12カ月で割ると月収平均は約50万円となります。

参考:東京商工リサーチ 「上場企業1,803社の平均年間給与」調査 2020年3月期決算

参考:国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査結果について

参考:電力総連 春季生活闘争

電力会社社員の初任給はどれくらい?高卒・大卒・院卒で違いはある?

大手10社のうち、採用ページなどで公式に公表されている数字を見ていくと、修士卒の初任給平均は約23万円、学部卒の初任給平均は約21万円でした。

当然ながら、修士卒の方が初任給が高い設定になっています。

厚生労働省が公表している民間企業の学歴別初任給は修士卒で約23.9万円、学部卒で約21万円となっており、初任給だけを比較すると電力会社社員の初任給はほぼ平均並みといえます。

参考までに、大手電力会社の中から初任給を紹介します。(2022年度実績)

<北海道電力>
修士了:233,000円
大学卒:209,000円

<東北電力>
大学院修士了:234,000円
大学学部卒:214,000円
高等専門学校専攻科修了:214,000円
高等専門学校本科卒:189,000円

<東京電力>
大学院博士了:月額273,300円
大学院修士了:月額249,500円
大学学部卒:月額225,700円
高等専門学校専攻科修了(学士):月額225,700円
高等専門学校本科卒:月額200,800円
短期大学卒:月額188,400円
専門学校卒:月額180,100円

<関西電力>
大学学部卒:216,000円 
大学院修士了:243,800円
高専本科卒:190,000円

<四国電力>
事務系(総合コース)・技術系(全コース)
大学院卒:236,000円
大学卒:214,000円

事務系(エリアコース)
大学卒:209,000円
短大卒・専門学校卒:183,000円

ちなみに公表されている会社のみの数値ですが、高専卒の初任給平均は19万円、高卒で約17万円ほどでした。

紹介した通り、年収額では国内平均を大幅に上回っているため、キャリアを積んでいくことで給与は徐々に上がっていくと考えられます。

参考:厚生労働省:学歴別に見た初任給

電力会社社員の福利厚生の特徴は?

業界として安定している分、福利厚生も充実しているのが電力業界の魅力といえます。

健康保険や厚生年金、労災保険や雇用保険といった各種保険制度が整っているのは当然ですが、社員が自分のライフスタイルに応じて必要な福利厚生メニューを選べるカフェテリアプランを導入している会社も多くあります。

大手電力会社には持株会、財形貯蓄、住宅建設資金融資、共済制度、資金貸付制度といった制度も整っており、将来的にも安心して働ける環境が整っています。

休暇に関する福利厚生も充実しており、出産や育児休暇はもちろん、結婚休暇や介護休暇、子の看護休暇やボランティア休暇、勤続年数に応じてもらえるリフレッシュ休暇などもあります。

また、家庭の事情に合わせて特別フレックスタイム勤務や短時間勤務、在宅勤務など仕事と家庭の両立を支援する制度もあるため柔軟な働き方が可能です。

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電力会社社員の給料・年収の特徴

大手電力会社10社のなかにも差がある

先に紹介したように、大手電力会社10社の平均年間給与は約760万円です。

大手電力会社の平均年収を有価証券報告書などから調べると、以下のようになっています。

「中部電力」857万円
「関西電力」819万円
「東京電力ホールディングス」815万円
「中国電力」799万)
「東北電力」792万円
「沖縄電力」783万円
「四国電力」771万円

一般的な企業に比べると非常に高額に見えますが、一方で同じような仕事をしているのにもかかわらず、地域によって年収には差があります。

10社の中でも約180万円もの開きがあり、大手といえども給与も大きく変わるのが分かります。

しかし平均年収は上場企業の平均年収と同額ですし、民間企業の平均年収に比べればかなり高めですので、給与水準は高いといえます。

新電力会社の台頭

電力自由化によって、近年は大手の電力会社だけでなく、新規の電力会社が台頭してきています。

電力小売全面自由化が始まった2016年には300社程度だった小売電気事業者ですが、2022年6月末時点で小売電気事業者の登録件数は738社にまで増加しています。

消費者にとっても、電力自由化により電気料金が変わったり料金プランが増えたりするメリットがありますが、経営状態がよい電力会社は今後も年収が上がっていく可能性があります。

大手10社としてもシェアを奪われることにより、給与面にマイナスの影響が出る可能性は認識しておく必要があるでしょう。

一方で、株式会社帝国データバンクの調査によると、2021年4月までに小売電気事業者として登録されていた新電力706社のうち、2022年11月で倒産は22社、撤退は33社あるとされています。

新型コロナウイルスやロシアとウクライナによる戦争の影響などにより、電力調達価格が急激に上昇したため、経営がうまくいっていない新電力会社も少なくありません。

参考:経済産業省 電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について

電力会社社員が所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
北海道電力 約737万円 41.8歳
東京電力 約816万円 45.4歳
中部電力 約858万円 42.4歳
関西電力 約821万円 43.3歳
九州電力 約766万円 43.4歳

出典:2020年3月現在(各社有価証券報告書より)

北海道電力の平均年収

北海道電力の平均年収は約737万で、発電事業としては原子力・石炭火力の比重が大きく、地域特性から冬に需要のピークを迎えます。

東京電力の平均年収

電力会社最大手で平均年収は約816万円です。

福島第一原発事故に関する賠償や廃炉費用などが続いている中、事業領域の拡大など持続的な成長に向けた取り組みも行っています。

中部電力の平均年収

中部電力の平均年収は約858万円で、東京電力との既存火力発電事業の統合やM&Aによる海外事業の拡大にも力を入れています。

関西電力の平均年収

東京電力に次ぐ企業規模で平均年収は約821万円です。

発電事業のほかに、ガス・情報通信・不動産事業の展開にも力を入れています。

九州電力の平均年収

九州電力の平均年収は約766万円で、産業向け比率が高いのが特長です。

海外エネルギー事業や海外コンサル事業、通信事業への展開も積極的に取り組んでいます。

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新電力会社の年収は?

新電力会社の年収は、その会社の規模や経営状況によって大きく変わります。

再生可能エネルギーに関わる事業を行っている「イーレックス」は、平均年収1035万円と公表されています。

また、日本とアジアで電力開発を行っている「レノバ」は年収が976万円となっています。

このように高収入の新電力会社がある一方で、電力自由化により多くの新電力会社が乱立したことで倒産や事業撤退に追い込まれたところも非常に多いです。

大手電力会社と比べると、非常に低い収入にとどまっている会社もあります。

関連職種との年収比較

ガス会社の平均年収は、600万円~700万円程度がボリュームゾーンとされています。

ガスは社会生活に不可欠なインフラであるため、利用者が大幅に増減することはないでしょう。

一定の売り上げは見込めるため、給与面でも安定している業界です。

ただし、2017年にスタートした都市ガスの小売全面自由化や、地方の過疎化などもあり、ガス会社の経営状況は厳しくなりつつあります。

一方、大手石油会社の平均年収は800万円~900万円前後がボリュームゾーンとされており、他の業界・業種と比べても高めの水準にあるといえます。

ただし、石油会社ならどこでも好待遇というわけではなく、大手企業と中小企業の差が大きいことが特徴として挙げられます。

大手では高い年収に加えて諸手当や福利厚生も充実している一方、中小企業ではトップより数百万円程度も低い年収となっているところもあるようです。

電力会社社員の年収が高い理由は?

電力会社社員の年収が高いのは、高い専門性と責任を要する仕事であるからです。

電力会社では、各家庭や企業に電気をおくったり、発電所や送電線などの設備を維持したりするためには高度な技術と専門知識が必要とされるため、年収が高い傾向にあります。

万一、適切に管理されなければ、電力の供給が滞ってしまい重大な事故や災害につながる恐れがあるため、多くの企業では年収が高くても優秀な人材を確保したいと考えています。

さらに、電力会社は各家庭や企業から電気料金を徴収しており、安定した収入が見込めることも一つの要因です。

新電力会社の台頭はあるものの、ほかの業界のように競争相手が少なく、毎日必ず使用されるものであるため、一定の収入が保障されているのです。

このような理由から、電力会社社員は年収が高くなる傾向があるといえます。

電力会社社員は年収1000万円を目指せる?

電力会社の社員が年収1000万円以上は十分可能です。

年収1000万円以上を目指すには、大手の電力会社で長く働き出世するか、新電力会社で高収入を目指す道があります。

大手電力会社の平均年収は高く、800万円程度となっているため、管理職などに出世すれば1000万円を超える可能性は十分あるといえるでしょう。

また、新電力会社は急速に業績を上げているところも多く、事業が成功したことで年収が100万円単位でアップしているようなところもみられます。

新電力会社は歴史が浅いためリスクもありますが、成功すればこれからどんどん年収をアップさせられるという可能性も秘めています。

電力会社の社員が収入を上げるためには?

給与面での待遇に恵まれている電力業界といえども、収入を上げるには日々の業務を真摯(しんし)に取り組み、経験と実績を積んでいくしか道はありません。

例えば、総合職としてキャリアを積むのであれば、現場と本社勤務を交互に何年も経験し、管理職研修をはじめとした各種研修によってマネジメント能力を伸ばす必要があります。

現場のスペシャリストを目指すにしても、十分な実務経験に加え、業務に必要な資格を取得することで業務の幅を広げなくてはいけません。

職種ごとにキャリアパスが存在しているので、自分の努力次第で収入も上がっていくでしょう。

電力会社社員の年収のまとめ

電力会社で働く人の年収は、一般的な企業と比べると高めに設定されています。

発電や送配電には高度な技術と専門知識が必要であり、また設備の適切な管理も求められることから、年収も高めになることが多いようです。

とくに大手電力会社で働く人は高い専門性と責任を負うことになるため年収が高いことで知られていますが、一方で新電力会社のなかにも、高収入を得ている人が少しずつ増えてきています。