女性の大工

女性志願者は増加傾向に

身体を酷使するイメージが強いことから、大工は長らく男性の職業であると考えられてきました。しかし最近では、あらゆる職業において男女差がなくなりつつあります。

この流れから大工業界も女性の採用に積極的になってきました。

最近では大学等の教育機関で建築や土木を学ぶ女子学生も珍しくなくなってきました。

その結果、卒業後の進路として大手ゼネコンや設計事務所を選択する女性も増えてきています。

職務の関係上、建造物の建築現場に出入りする中で大工をはじめとする職人の技術に直に触れ、工務店への就職を決める女性も少なくないようです。

もちろん家族の影響や幼少期の経験から大工を志す女性もいます。

志願者の増加や時代の流れに伴って、前述のように受け入れ態勢も整ってきているため、大工業界での女性の就職状況は向上しています。

男性優位の側面も残る

とはいえ、90年代初頭までは女性の大工はほとんどいませんでした。

この時期に大工を志願したごく少数の女性たちはどこの工務店でも門前払いを受け、泣く泣く夢を諦め、別の職業についたといいます。

大工業界に徐々に女性の門戸が広がり始めたのは90年代後半のこと。この時代からまだ20年もたっていないことを考えると、女性大工はまだまだこれからの職業であるともいえます。

そのため、女性用トイレや更衣室の未設置といった設備面、産休育休などの制度面で女性が働きづらさを感じる要素が未だ残っています。

工務店によっては女性は事務職などの内勤に回し、現場では使わないところもあるようです。

負けん気が将来を切り拓く

大工がもともと男性の職業であったからこそ志願する女性たちはその前提を踏まえて強い情熱ややる気、いわゆる負けん気で勝負しようとする人がほとんどです。

力仕事の多い職種でありながら、男性に負けないという意気込みを持って日々作業に従事している女性大工が全国で多数活躍しています。

中には仕事の上で男女の区別を意識したことはあまりないと語る女性もいるほどです。

女性ならではの視点を生かす

一般的に男性主体のイメージが強い建築現場において女性大工の存在が思わぬ潤滑油になることは、ままあることです。

たとえば住居の施工主が女性の場合、建築を手がける大工が女性であることで相談できる案件の幅が広がることもあります。

水回りの使い勝手など女性ならではの提案ができることもあるはずです。

また、インテリアや福祉など周縁の知識を持った女性大工の場合、デザイナー住宅やバリアフリー住宅など特定の分野に長けることで会社や取引先の信頼を得ることもできるでしょう。

こういった女性ならではのきめ細かい気配りが実は建築の現場で大いに役立つのです。

家族の協力が不可欠

大工に限らず女性の社会参画に不可欠なのが家族の協力です。子どもがいる場合は保育所に預けるなどして、仕事と家事・育児の両立をしなければなりません。

配偶者に家事協力をしてもらわなければならない場面も出てくるでしょう。

これは女性として決して容易なことではなく、心身ともに負担のかかることです。

しかし、逆に好きな仕事を思い切りやって、ストレスのない状態を保ち、休日に家事や育児に専念するという考え方もできるでしょう。

家族の協力を得ながらメリハリのある生活を送り、現場で輝く女性大工が今後ますます増えていくことが期待されます。