治験コーディネーターの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

治験コーディネーターの仕事とは

製薬会社が新薬を開発するとき、その開発の最終段階で人体への有効性と安全性を確認する「臨床試験(=治験)」をおこないます。

その治験の調整役となり、プロジェクトのコーディネートを行うのが、治験コーディネーターです。

英語表記では「Clinical Research Coordinator(CRC)」となります。

治験コーディネーターは、製薬会社の臨床開発モニターCRA)や治験を実施する医療機関の担当医師(治験責任医師といいます)と治験事務局、医事課、薬剤部、検査部、看護部などの各関係部署やその医療スタッフらと協力して治験を進めていき、被験者となる患者さんをサポートします。

治験コーディネーターはおもに医療機関で働いています。

医療機関の治験部署に直接雇用されるパターンもありますが、もうひとつ、民間企業であるSMO(治験施設支援機関)に所属して、医療機関に派遣されるパターンがあります。

どちらの治験コーディネーターとして勤務することになっても、仕事内容はほとんど変わりません。

治験は長いものでは数ヵ月~数年にわたるので、基本的にひとつの治験を担当しますが、SMOから派遣される治験コーディネーターは、同時に複数の医療機関で治験を担当することもあるようです。

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治験コーディネーターの仕事内容

治験コーディネーターはおもに医療機関で勤務します。

治験という大きなプロジェクトにおいて、具体的にどのような仕事をするのか、治験コーディネーターの仕事内容を3つのステップに分けて見ていきましょう。

治験準備

治験準備においては、治験実施計画書(プロトコル)の理解、スタートアップミーティングの準備補助、治験に必要な検査機器や物資などの管理を行います。

なかでも、治験責任医師や看護師などの医療スタッフを含めたスタートアップミーティングの準備は重要で、会議資料の作成や議事進行のサポートをします。

治験実施

治験の開始にあたっては、治験コーディネーターは被験者の募集と「治験実施計画書」の基準に合わせたスクリーニングをおこないます。

被験者である治験に適切な患者さんを探すことは大変重要で、治験の成功にも大きく関わるため、あらゆるネットワークを駆使して候補者を選定します。

また、それに合わせて治験の説明文書と同意書の作成などを行い、治験責任医師が被験者に事前説明(インフォームド・コンセント)をおこなう場を設けます。

治験コーディネーターは患者さんに渡す治験の説明文書や同意書を作成し、治験が始まります。

治験が始まると、進行の管理や検査・投薬予定日などをスケジューリングし、それに基づいて症例報告書の作成を行います。

ここで、治験に問題が生じた場合は事象発生の経緯や、関連する検査値、因果関係などを「重篤な有害事象に関する報告書」として作成し、クライアントである製薬会社に提出します。

治験終了時

必要症例報告書(CRF)数が揃ったら、追跡調査などを経て「治験終了報告書」の原案を作成します。

状況や進み具合、結果などによって製薬会社から追加の治験を頼まれることがあります。

ここで追加症例をしっかりと集められると製薬会社からの評価が上がり、治験コーディネーター査定の高評価にもつながります。

治験コーディネーターの活躍の場

治験コーディネーターの主な活躍の場は病院などの医療機関になります。

治験実施場所である治験実施支援機関には、街の総合病院をはじめ、国公立の病院、研究センター、医科大学などがあります。

所属先は治験実施場所の病院である院内治験コーディネーターの場合と、治験実施支援機関に所属する外部治験コーディネーターがありますが、それぞれの仕事場所は大きく変わらずどちらも医療機関となります。

病院などの医療機関内のカンファレンスルームや会議室、医局などに出入りすることが多いと考えてよいでしょう。

また、同時に複数の案件に携わる場合、仕事場所である医療機関も複数個所になることが少なくなく、あちこちに移動しながら業務を行うなど、スケジュール管理が重要になります。

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治験コーディネーターの需要は高まっている

「治験を実施する人材に関する現状調査班の報告書」によると、SMO所属の治験コーディネーターは、46.5%が看護師の有資格者、次いで、臨床検査技師薬剤師の順となっています。

医療系資格を持つ人が、治験コーディネーターとして働くケースが目立ちます。

また、治験コーディネーター一人当たりの年間の担当は17.7症例であり、約3割の治験コーディネーターが業務過多と感じていたとのデータもあります。

今後は、治験コーディネーターのライフスタイルの変化に応じた配置、また業務や労働条件に関して、医療機関の理解と環境改善の努力が必要とされます。

このことが治験コーディネーターのインセンティブを高め、専門職としての質的な保証につながっていくとのまとめもあります。

今後の安定した研究受託を確保し、治験・臨床試験を確かに進めるためには、治験コーディネーターの安定雇用を推進するよう医療機関も努力する必要があるといわれています。

これらの情報より、医薬品業界や国の方針を鑑みると、ますます治験コーディネーターの需要は増すものと考えられます。

広がっていく治験コーディネーターの業務

医薬品の開発業界においては、治験コーディネーターに特定の治験プロジェクトのコーディネートだけではなく、臨床試験全体のコーディネートを期待する声も増えているようです。

実際に、治験コーディネーターの呼称を「臨床研究コーディネーター」とすることにより、臨床試験現場での定着が進むのではないかという意見も出ています。

今後、ますます活躍の場や取り扱える業務の範囲が広がっていくものと思われます。

疾患が多様化している現代で、治験コーディネーターには臨床試験に関する幅広い知識と現場での経験が不可欠です。

治験の実務上必要な規制などの専門知識、業務内容に関してのスキル、などをブラアッシュアップしていくことにより、医療職としての一定の技能・能力を持つ治験コーディネーターを養成していく流れになりつつあります。

治験コーディネーターの役割

治験とは、製薬企業などによって開発された新薬が、実際患者さんに服薬される薬として使用されるために必要な臨床研究で、被験者となる患者さんに参加してもらい薬の安全性や効果などを最終段階として確認します。

この治験には多くの人が携わりますので、調整役として治験コーディネーター(CRC)が活躍し、治験がスムーズに進行するようサポートします。

疾患が多岐にわたり、ますます新薬の開発が求められるなか、治験数の増大とともに需要が高まりつつあり、現在、注目が集まっている職業のひとつです。

実際に医薬品として人が服用するための新たな薬を開発するには、通常長い時間と多くのステップが必要とされます。

まず基礎研究により薬としての機能や効果があるか可能性を検討します。

つぎにインビボ(研究所内)で細胞や動物を使い、候補物質の薬効、毒性などを応用的に研究する非臨床試験を行います。

そしてその最終段階で行われるのが臨床試験、すなわち治験で、最終的に人にとって有効かつ安全かを評価します。

治験のデータを収集して報告書に仕上げ、厚生労働省に提出し、薬として承認できるかの判断が下される流れになります。

治験コーディネーターは、このような治験がスムーズに実施できるよう、医療機関・医療スタッフ、製薬会社、患者さんとの間で調整を行い、全体を統括する役目を果たします。

治験コーディネーターと関連した職業

治験コーディネーターと関連した職業に、MRが挙げられます。

MR(Medical Representatives)は、日本語で「医薬情報担当者」を意味し、医薬品のスペシャリストとして病院などの医療現場に情報を提供する仕事です。

内服薬、外用薬、注射や点滴で使う液剤など、あらゆる医薬品の情報を持ち、医師や看護師に副作用や適応症に関する正しい情報を伝えるとともに、医療現場から副作用に関する情報を吸い上げ、報告することで、医薬品の被害を最小限に抑える役割を担います。

特別な学歴や国家資格が必要とされる職業ではありませんが、大手製薬会社のほとんどは「大卒以上」が採用条件となっており、薬剤師免許を持つMRもめずらしくありません。

医薬品の専門職であると同時に、営業職でもあるため、成果主義の仕事ですので個人の売上実績に応じてインセンティブがつく企業も多く、年収1000万円以上を得ることも可能です。

MRの人数が増えたことなどから、今後は就職の倍率や難易度がさらに上がる可能性も考えられます。

MRの仕事