ゼロサムゲームとは(読了時間:2分59秒)

日常の行動やビジネス、また遊びにおいても私たちは常に意思決定を繰り返しています。

その意思決定が生み出す状況にはいくつかのパターンがあり、経済学では「ゲーム理論」として知られています。

そのパターンのひとつである「ゼロサムゲーム」について、詳しくみていきましょう。

ゼロサムゲームとは

ゼロサムゲームとは、ゲームに参加する全員の得点を合計すると必ず0(ゼロ)になるゲームのことで、経済学におけるゲーム理論で用いられる用語です。

プレイヤーの合計点が0(ゼロ)になるゲームというのは、だれかが点数を得たら、他のだれかの点数がマイナスになるルールを取り入れたゲームのこと。

サム(sum)は日本語で「合計」や「総数」と訳されます。

合計点がプラスになるゲームは「プラスサムゲーム」、反対にマイナスになる場合は「マイナスサムゲーム」といいます。

経済学のゼロサムゲーム(ゲーム理論)

ゲーム理論とは、テレビゲームなどの娯楽のゲームに関する理論ではなく、相互に依存する関係性においてとるべき行動を研究する数学的理論です。

経済や経営をはじめ社会においては、関係する人々がさまざまな意思決定を行います。

その影響によって起こる状況を「ゲーム的状況」といい、ゲーム理論はゲーム的状況における人々の意思決定と行動を理論化したものです。

ゲーム理論のゲームにはいくつかの類型があり、ゼロサムゲームは「利害の衝突度合い」に分類されます。

例えばビジネスにおける価格交渉は、利害の衝突です。

値引きが行われる場合、売り手にとってのマイナスと買い手にとってのプラスの合計値は0(ゼロ)。

非常に身近なところにも、ゲーム理論が存在していることが分かるでしょう。

価格交渉は価格だけに着目すると、常にゼロサムゲームです。

値引きをしない代わりにサービスを付加したり、値引く代わりに契約年数を増やしたり、お互いに納得感のある妥協点を見つけることができれば、その交渉はプラスサムゲームとなります。

特にビジネスにおいてはWin-Winの関係を築くことが重要なため、ゼロサムゲームをプラスサムゲームへと好転させる姿勢が大切です。

ゼロサムゲームの具体例

ゲーム理論は、金融分野でもよく用いられる表現です。

ここでは株式投資と外国為替取引を例に挙げて、2つの違いを確認しながらゼロサムゲームを理解しましょう。

株式投資

株式投資とは、企業が発行する株を投資家が売買する取引のこと。

ある株式を買う人が増えるとその株価が上がり、反対に売る人が増えると株価が下がる仕組みです。

株価が高くなるとその分市場は大きくなり、下がると市場も小さくなります。

つまり、株価が上昇しているときは投資家全体の利益が高まっている(高まる可能性のある)状態で、他のだれかが同じ額の損失を出しているわけではありません。

これは株価が下落している場合も同様で、全体が損失を出すことになります。

このことから株式投資はゼロサムゲームではないと考えることができ、ゼロサムゲーム以外を指す「非ゼロサムゲーム」に当てはまるでしょう。

<ある企業の株を5,000円で購入取得後、株価が変化した場合の例>

[10,000円に上昇]株の保有者全員が5,000円プラス(合計が0にならない)
[3,000円に下落]株の保有者全員が2,000円マイナス(合計が0にならない)

外国為替取引

外国為替取引とは「円⇒ドル」「ドル⇒円」のように、2種類の異なる通貨を交換する取引のことです。

2種類の通貨の価値は相対的に計算されるため、どちらか一方の価値が上がれば、もう一方の価値は下がります。

そのため外国為替では、取引量が増減しても市場の大きさは変わりません。

ドルの価値が上がればドルを保有している人が利益を高め、その分円を保有している人が損失を出すのです。

つまり、外国為替取引はゼロサムゲームと考えることができるでしょう。

以下の例をみても、マイナスとプラスの合計が0(ゼロ)になることが分かります。

<1ドル=100円で円もしくはドルを取得後、為替取引をした場合の例>

[円高・ドル安] 90円=1ドル
⇒円の価値:10円プラス /ドルの価値:10円マイナス(合計が0になる)

[円安・ドル高]120円=1ドル
⇒円の価値:20円マイナス /ドルの価値:20円プラス(合計が0になる)

実は身近なところでみられるゲーム理論。

中でもゼロサムゲームは、室内ゲームやビジネスの交渉など、知らない間にゲーム的状況に置かれていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。

ゼロサムゲームの具体例は、あくまで違いを理解するための解説です。

実際の取引には手数料や取引形式によって、上記の解説通りにならない場合もあるので注意してください。