バイラルマーケティングとは(読了時間:5分16秒)

「バイラルマーケティング」は最近生まれたマーケティング用語です。

今回はビジネス用語の基礎知識として知っておきたい「バイラルマーケティング」について、具体例を交えて紹介していきます。

口コミの影響力が強くなっている

ある製品やサービスの購入を検討している場合、それらをすでに購入して利用している人の評価を参考にした経験はないでしょうか。

おそらく多くの方が、企業から提供される商品情報に加えて、他の消費者がどのような評価をしているか口コミをチェックして、購入の決め手にしているでしょう。

インターネットの普及以来、消費者の購買行動は、SNSやブログ、口コミレビューサイトなど「他の消費者がどのように思っているか」によって、より左右されるようになってきました。

誰もがスマートフォンやパソコンで気軽に商品やサービスの口コミを投稿できる時代です。

口コミが購買行動に対して持ちうる影響力を考えると、企業も口コミの影響力を無視できなくなってきています。

バイラルマーケティングとは口コミを利用したマーケティング手法

バイラルマーケティングは、ある商品やサービスに対する口コミネットワークを活用します。

つまり、ある企業が自社の製品やサービスを効果的にプロモーションしたいと考えた場合、それらの口コミを拡散させることで、他の消費者の購買行動に影響を与えるのです。

その意味では、バイラルマーケティングとは、口コミを利用したマーケティング手法であるといえます。

バイラルマーケティングの「バイラル」(Viral)とは、英語で「感染する・伝染する」という意味の用語で、口コミが他の消費者に、まるでウイルスのように感染して影響を与えることを表しています。

口コミを利用したプロモーションの利点

企業のマーケティング部門が、CMやネット広告などで消費者に一方的にプロモーションする従来の広告手法から、口コミを利用したプロモーションに重点を置き換えているのには理由があります。

情報の信憑性です。

たとえば、ある企業の担当者にその会社の製品やサービスを勧められた場合と、口コミサイトなどでそれらが高評価だった場合とで、どちらが信頼しやすいか考えてみればよくわかるでしょう。

利害関係のない第三者の立場から商品を勧められたら、信じたくなるものです。

企業がバイラルマーケティングの手法を使う理由のもう一つは、プロモーションの費用対効果が高いということ。

テレビCMなどのプロモーション費用は莫大なものとなりますが、口コミを利用したプロモーションはアイデア次第とはなりますが、少ない費用で大きく効果を上げることもできます。

影響力の強いインフルエンサー

バイラルマーケティングの手法が効果的に機能すれば、消費者がいわば第二、第三の広告塔となって、口コミを広めてくれるので低コストで最大のプロモーション効果をあげることも期待できます。

また、バイラルマーケティングが口コミを利用したマーケティング手法であるということは、口コミの発信者の社会的影響力が高い人であればあるほど、その効果は一層高まるといわれています。

他の消費者に対して強い影響力を持つ人は「インフルエンサー(影響を与える人)」と呼ばれ、芸能人や著名人、購読者数の多いブロガーなどが一般にインフルエンサーとなります。

企業はこのインフルエンサーにアプローチして、自社の製品やサービスを紹介してもらえば、それだけ高い効果を得られることになります。

世界的に大流行したピコ太郎も、ジャスティンビーバーという超強力なインフルエンサーの口コミから大ブレイクしたのは記憶に新しいところです。

企業のバイラルマーケティング活用例

ここまでバイラルマーケティングが口コミを利用した低コストのプロモーション手法であることを見てきました。

それでは、企業のマーケティング部門は、どのようにバイラルマーケティングを活用し成功させてきたのでしょうか。

つづいては、企業のバイラルマーケティング活用例を具体的にご紹介してまいります。

江崎グリコのバイラル活用事例

企業によるバイラルマーケティング活用事例としてしばしば紹介されるのが、ポッキーなどの商品でおなじみの江崎グリコです。

11月11日は「ポッキー&プリッツの日」として多くの人に知られていますが、2013年の11月11日に24時間の間で「ポッキー」という言葉を含んだツイート数でギネス記録に挑戦しました。

協力者には記念証書を贈呈するキャンペーンを実施したところ、目標である200万ツイートをはるかに超え、370万以上のツイート数を記録しギネスに認定されました。

このキャンペーンはTwitter上でのバイラルマーケティングの成功事例としていわば雛形となっています。

実際、江崎グリコの2013年10月〜11月の売り上げが前年比120%にもなりました。

Twitter上で「ポッキー」というワードがまるでウイルスのように人から人へ感染して、購買意欲を促進した結果、売上アップにつながったというわけです。

もちろん、低コストでのプロモーションというメリットもしっかりおさえています。

無印良品のバイラル活用事例

現在では企業の多くがマーケティング戦略の一つとしてFacebookやTwitterなどのSNSを活用しています。

ソーシャルを活用する国内企業の中で、いちはやくSNSを活用したバイラルマーケティングを行った企業が「無印良品」でおなじみの株式会社良品計画です。

無印良品の有楽町店10周年記念として、SNSで「無印良品といえば◯◯」と投稿すると10%割引になるキャンペーンを展開しました。

ユーザにとっては、ワンフレーズコメントするだけで割引というインセンティブがもらえるため、瞬く間に無印良品のキャンペーン告知が広まりました。

実際、SNSを利用したマーケティングのおかげで無印良品の売上は倍増したといわれています。

この他にも、企業によるバイラルマーケティングの成功事例は数多く、売上アップや収益向上に役立っています。

ただし、バイラルマーケティングが拡散される情報は必ずしも企業にとって良い情報だけとは限りません。

悪い情報もバイラルに、つまり爆発的な感染力を持って拡散する恐れがあります。

最後にバイラルマーケティングが持つ怖い側面についても簡単に触れておきましょう。

バイラルマーケティングの失敗例

バイラルマーケティングの失敗例としてよく名前が上がるのがSONYです。

2000年代前半、携帯型音楽プレーヤーの勢力図は激変しました。

AppleのiPodが登場して、それまでトップシェアを誇っていたSONYのウォークマンは不調に陥りました。

SONYは起死回生を図ってバイラルマーケティングを仕掛けます。その手始めとして行ったのが、SONYのウォークマン専用のブログの立ち上げです。

そこで一般の方からモニターを募り、レビューを拡散することでシェア奪回を目指しました。

ただ、レビューにはiPodを批判する内容も多く、当初から評価の公平性は疑問視されていました。

実際その後、一般のモニターが実はSONYがお金を払って雇ったサクラであることが発覚。

消費者を欺く対応だとして問題となり、その問題自体がバイラル化して広く知れわたることになりました。

いまでいう「炎上」です。

このように、バイラルマーケティングはいわば諸刃の剣ともいえます。

公平な運営を心がけないと、大きな損失を被ることになります。

企業がマーケティング戦略の一環としてソーシャルメディアを活用する時代、今後も口コミを利用したプロモーションはますます増えてくるでしょう。

時代を表すビジネス用語としてバイラルマーケティングという用語はしっかりおさえておきたいところです。