参入障壁とは(読了時間:2分29秒)

ビジネス書などを見ていると目につく「参入障壁」とは、企業が新たな市場に参入しようとする時に障害になる要因のことです。

では一体、「参入障壁」としてはどのような要因があるのか、ここで詳しくご説明しましょう。

新たな企業や新規産業への参入をはばむ「参入障壁」

新たに企業を作って特定の産業に参入しようとする場合、またはある企業が、それまでとは異なる産業や市場に新たに参入しようとする場合に、これを妨げる障害となる要因のことを「参入障壁」といいます。

産業にこの「参入障壁」がない状態を「自由参入」といいますが、産業の多様化が進んだ現代において、「自由参入」が叶う産業はなかなかないというのが現状です。

「参入障壁」の度合いが大きい産業ほど新規参入が難しく、参入しようとする企業にとって「参入障壁」は経営戦略を決める際の基準のひとつとなるといえるでしょう。

逆に既存の企業にとっては、その産業においてすでに投資を行い、培ってきたノウハウや実績、築いてきた地位やブランドなどが、新規参入企業に対する「参入障壁」となり、優位性を保つことができます。

「参入障壁」の度合いが大きい産業ほど新たな競争相手が少ないため、既存企業は利益を受け続けることができると考えられるでしょう。

「参入障壁」となる主な要因

アメリカの経済学者、マイケル・ポーターは、著書「競争の戦略」の中で、「参入障壁」の度合いを測る具体的な指標として、主に次のような要素を示しています。

規模の経済性

一般的に、事業の規模が大きくなるほど、生産コストは小さくなっていきます。

生産量を倍にしようとした時に、原材料をまとめて安く仕入れるなどにより、コストは単純に倍ではなく、もっと小さくて済むのです。

つまり、早期に参入をした既存の企業の方が競争上有利になり、新規参入企業に対しては障壁となります。

製品の差別化

既存企業はこれまでに、プロモーション活動などによって製品の魅力をアピールしてきた結果、消費者に対してブランドイメージを確立しています。

特に食品をはじめとする消費財の分野においては、消費者が製品に対する経験値や信用性が大きな購入の理由になるため、既存企業の方が優位性が高いといえるでしょう。

新規参入企業が既存企業に太刀打ちするには莫大な広告宣伝費がかかるため、製品の差別化は障壁となるのです。

巨額の投資の必要性

新規で計画している事業に研究開発や設備に対する巨額の投資が必要な場合は、それ自体が障壁となります。

流通チャネルの確保

既存の企業は豊富な知識と経験により、優れた取引先や流通網をすでに確保しています。

このような囲い込みによって、新規参入企業は取引先や流通網の開拓のために営業コストや販促コストをかけなければならず、既存企業は流通チャネルの確保においてもコスト面で優位に立つのです。

独占的な製品技術

既存企業が特許をはじめとする独占的な製品技術を取得している場合、新規参入企業はその技術を応用するために使用料を払わなければならず、障壁となります。

経験曲線効果

長く経験を長く積むことによって、ひとつの課題を効率的にこなせるようになることを「経験曲線効果」といいます。

製造業でいえば、生産量が増えるにつれて生産コストが下がっていくということになるため、既存企業の方が「経験曲線効果」が高く、有利になります。

政府の政策

新規事業を開始するにあたって免許や許認可が必要な場合、認められるまでは法的な規制が加えられるため、それが障壁となります。

法改正などにより、既存の企業が参入した時点より、これから参入しようとする企業の方が厳しい法律に縛られるというケースもあるのです。

新たな企業や新規産業への参入には、さまざまな「参入障壁」が存在します。

新規参入企業は「参入障壁」の度合いを考えて経営戦略を決めなければならず、既存企業は「参入障壁」により守られているといえるでしょう。