差別化戦略とは

「差別化戦略」とはマーケティング用語の中ではとても頻繁に使われる言葉です。

では、戦略とは何か、差別化とは何かというところから、順を追って見ていきましょう。





戦略とは

戦略とは、「目的や目標を達成するための方針」のことです。

例えば、バスケットボールのチームが次の試合で勝つことを目標としましょう。

勝つためには、チーム内で誰をスターティングメンバーにするのか、誰をどのポジションにするのかということはもちろん、相手のチームの特徴や強さ、弱点などを研究しますね。

時には、相手チームの弱点を突くために、特別練習を積んで試合に臨んだりします。

このような、試合で勝つという「目的」のために行う選手決め、相手チームの研究、練習方法といったすべての方針のことを「戦略」と呼びます。

経営戦略とは

では、「企業の事業上の戦略」、より明確に言い換えると「企業の経営戦略」とはどのようなものなのでしょうか。

企業の目的・目標

まず、企業の「目的や目標」を考えてみましょう。

企業、特に株式会社は「儲ける」ことを第一の目的、目標としています。

組織の中には、非営利団体や官公庁など、「儲ける」ことを目標や目的にはせず、社会的な必要性から存在している組織もあります。

そういった団体は国や地方政府からお金を分配されて運営を行っています。

しかし、一般的な企業は自分の会社の資金は自分たちが稼がなければなりません。

世の中にはさまざまな企業がありますが、そんな数多くの企業に共通した基本的な事業運営の目的、目標の一つは「儲け」て、そのおカネをもとに会社を維持していくことにあります。

企業の方針-4P-

では、企業が「儲ける」ために採用する方針にはどのようなものがあるのでしょうか。

マーケティングの世界では、企業が儲けるための方針を以下4つに分けて解説しています。

・プロダクト(Product/製品):どのような製品を売るのか
・プライス(Price/価格):製品をいくらで売るのか
・プレイス(Place/場所):製品をどこで売るのか
・プロモーション(Promotion/販売促進):製品をどうやって売るのか

以上4つの英語の頭文字をとって「4P」と表現したりしますが、この4項目を決めることが会社の経営戦略の基礎になります。

4Pで考える経営戦略

具体的に、八百屋の経営戦略を4Pで考えてみましょう。

八百屋ですから、プロダクト、つまり製品は野菜や果物になります。

次にプライス、価格です。大根1本は仕入れ値が80円だから売値は150円、りんご1個は120円、という具合に一つひとつ利益が出るように価格を決めていきます。

そしてプレイス、場所ですが、野菜や果物の需要がありそうな人の多い地域を選ぶとしましょう。

最後にプロモーション、店頭で並べて商品を見せるだけにするのか、インターネットや折り込みチラシなどで広告を打つのか、どのような形で「店がそこにある」ということを知らせるかを決めていきます。

このように、何を、いくらで、どこで、どうやって売るのか、それが企業の経営戦略となります。

「企業の経営戦略」とは、4Pで見られるような企業が儲けるために選ぶすべての方針のことを指しているのです。

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差別化戦略とは

では次に、「差別化戦略」について考えていきましょう。

言葉の意味だけを考えると、「差別化」とは「他の人と違う」という意味です。

簡単に言ってしまうと、「差別化戦略」とは「他の人と違う戦略」ということになります。

経営における差別化戦略の意味を考えるときに、重要なのは、自分たちの戦略にプラスしてライバルの存在を考えなければならなくなる、ということです。

企業経営を行っていると、どうしても同じ業種内でライバル関係になります。

その時に各企業がどのような戦略を採るのか、ということが差別化戦略を考える前提として大切な要素となるのです。

差別化戦略の具体例

再度八百屋の例を考えてみましょう。

先ほどの例では、八百屋は人の多い地域で出店することにしています。

店先に野菜や果物を並べて店舗で販売する形態で営業することにしましょう。

しかし、この地域にはすでに同じように店舗販売を行っている八百屋が近くに2店舗もありました。

これら既存の2つの八百屋は、すでに顔なじみのお客さんがたくさんいる上に、2店舗間での競争が激しく、双方、製品である野菜や果物の価格を下げることによって、お客さんの取り合いをしていました。

大根の値段は、何と1本90円です。仕入れ値が80円ですから、利益は10円、ほとんど儲かりません。

しかし、これら2店舗は、この地域のお客さんを二分することによって、それぞれ何とか経営を維持していたのです。

さて、ここで問題なのは新規に出店した3店舗目の八百屋です。

大根の仕入れ値はこのあたりの地域ではほぼ同じであるため、80円以下にはなりません。

他の2店舗と同じように90円で売ったとしても、地域のお客さまの数は変わらないので、大根を売り切ることはできなくなり、損失が出てしまう可能性は高くなります。

ここで3店舗目の八百屋が生き残るために考えるのが「差別化戦略」です。

この地域の住民の特性を調べると、実はここ一帯、一人暮らしの若者が多いことがわかりました。

一人暮らしの若者は、ファミリー層と異なり、大根1本を使い切る、ということがなかなか難しいこともわかりました。

そこで、3店舗目に出店した新参者の八百屋は、この若者向けに、大根を3分の1の大きさに切り分けて販売することにしたのです。

値段は1つ50円。他の八百屋は1本90円で売っている大根ですが、一人暮らしの若者にとって、腐らせずに使い切れる量を、40円も安く買える、という点はとても魅力的でした。

結果、飛ぶように大根は売れたのです。

ここで、1本80円の仕入れ値の大根を3つに分けて、1つ50円で売ると、1本分売れた時の売り上げは、50円×3個=150円。

利益は150円-80円=70円となり、他の八百屋よりも多くの利益を得ることができました。

これが、「差別化戦略」です。

他の店舗とは異なる価格や工夫を凝らすことによって、一見とても劣勢に見える状態での競争の中でも、生き残ることができる戦略が「差別化戦略」なのです。

差別化戦略には必須のマーケティングの力

「差別化戦略」では、「他の人とは違う」ことをすることによって、ライバルたちよりもうまく儲けることができることをお話ししました。

しかし、他の人と違っていればなんでもかんでも儲かるわけではありません。

今回の具体例では、大根を小さな単位にして売ることにより儲かりましたが、その前提に、「近隣の独身層が1本分の大根を消費しきれていない」という情報があります。

お客さんに「大根を小さな単位で売ってほしい」という潜在的なニーズがあったからこそ、成功した事例といえるでしょう。

これが、お客さんのニーズに対応していない「差別化」だったらどうでしょうか。

例えば、大根5本を430円で売ったとします。

1本86円ですから、他の店舗よりも割安で、しかも仕入れた大根を一気に販売できます。

しかし、そんなにたくさんの大根を欲しいと思う人が近隣住民にいなければ、まったく売れずに終わるだけです。

このように、「差別化戦略」を採用するときにとても重要になるのが、「お客さんが何を求めているのか」、つまりマーケットの状況を知る、マーケティングの力なのです。

この記事のまとめ

差別化戦略の具体例は探してみれば身近にたくさん存在します。

「相手と違うやり方をとる」とこによって利益を得ること、それが差別化戦略であり、たくさんの企業が生き残るために採用している工夫なのです。

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