モチベーションとは(読了時間:5分21秒)

やる気や意欲という意味で使われることの多い「モチベーション」。もともとは心理学用語ですが、今では一般的に使われる用語として知られています。

普段何気なく使っている方も多いかもしれませんが、ここでは「モチベーション」の正しい意味と、モチベーションと深く関わる「動機づけ」について解説します。

モチベーションの意味

モチベーション(motivation)とは人の行動と密接に関わる「動機」を意味する用語で、行動を促す理由や原因となる要素のことを指します。

「意欲」や「やる気」と同義語として使われるケースもありますが、古くから研究が行われている心理学の分野では、欲求が行動へと変わる一連のプロセスをモチベーションと捉えるため、それらとは区別されています。

2つの動機付け

物事に対する意欲を引き出すことや、意欲の源泉となる要因を刺激することを「動機付け」と呼び、モチベーションは動機づけによって引き起こされます。

動機付けには2種類あり、ひとつは外部から与えられる「外発的動機付け」、もうひとつは自身の内面から動機が生まれる「内発的動機づけ」です。

外発的動機付けの特徴

外発的動機付けは、外部から刺激を与えてモチベーションを高めようとすることです。

例えばポジティブな動機づけであれば、業績に応じたインセンティブや表彰、昇給や賞与アップ。

ネガティブであれば、罰則や強制などがそれに当たります。

一般的には、外発的動機付けによってモチベーションが高まっても持続性は低いといわれており、あくまで短期的な手法として考えられています。

内発的動機づけの特徴

内発的動機づけは外部から特に何かを与えられなくても、自身がもつ興味や関心のあることなどが行動の理由となります。

自分自身が満足するために動機づけが行われるため、外発的動機付けによる行動よりも質が高く、モチベーションが持続されやすいという特徴があります。

特に「私は○○ができる」という有能感と、自身の意思によって行動する「自己決定感」の2つが内発的動機付けに大きな影響を及ぼす要素として考えられており、さらに3つ目として、仲間との関わりである「対人交流」が要素に加えられる場合もあります。

また最初の行動が外発的動機付けによって促されたものであっても、その経験によって興味や関心が生まれるケースもあります。

その場合には次第に内発的動機付けが起こり、外部の刺激がなくなってもモチベーションが維持されます。

動機付けはモチベーションを高めるために重要な働きかけではありますが、どのように動機付けを行うかによって結果も変わります。

誤った方法で動機付けが行われると、かえってモチベーションが低下する可能性があることを理解しておきましょう。

モチベーション理論

モチベーションに関する理論は数多く存在しますが、焦点を当てる部分によってモチベーションの捉え方が変わります。

モチベーション理論は大きく「内容理論」と「過程理論」の2つに分けられます。それぞれに分類される理論の意味と代表的な理論を確認し、モチベーションについてより深く理解しましょう。

内容理論

内容理論は行動の結果と要因に着目し、行動の要因について焦点を当てた理論です。

「人には欲求が存在し、欲求を満たそうとすることが動機となって行動する」という仮定をもとに、行動を動機づける「何か」を明らかにしようとしています。

<内容理論に分類される、代表的な理論>

・マズローの5段階欲求(自己実現理論)

人間には段階的に5つの欲求があり、欲求が満たされる度により高いレベルの欲求を満たたすために行動するという主張に基づいた理論です。

5つの段階的な欲求とは、[1]生理的欲求、[2]安全欲求、[3]社会的(所属と愛)欲求、[4]承認(尊重)欲求、[5]自己実現欲求で、1から5へと上がるにつれて欲求のレベルが高くなります。

さらに理論の中では、1~4までは欠乏欲求、5を存在欲求として分類し、性質の異なる欲求として説明されています。

・ハーズバーグの二要因(動機付け・衛生)理論

仕事に対する満足や不満足は、2つの要因が引き起こすことを明らかにした理論です。

2つの要因とは、「動機づけ要因」と「衛生要因」。

動機づけ要因は満足の要因となるもので、仕事への興味や達成感、成長などが挙げられます。

反対に衛生要因は不満足の要因となるもので、給料や労働環境、人間関係などです。

動機づけ要因が満たされることによって満足度が高まるため、動機づけ要因に対する働きかけが重要ということがわかるでしょう。

一方、衛生要因は満たされている場合においても「不満足ではない」状態となる点が大きな特徴です。

決して「満足」とはならないため、衛生要因の改善に力を入れても効果は一時的なものになりやすいということを理解しておきましょう。

過程理論

過程理論は動機づけが行われる過程に焦点を当て、モチベーションが生まれるプロセスを明らかにした理論です。

<過程理論に分類される、代表的な理論>

・期待理論

努力によって望む成果が得られると期待し、また得た成果にも価値を感じた場合には、より高いモチベーションが生まれるという、行動における選択と持続のメカニズムに関する理論です。

成果に対する期待値が高いほど強く動機付けられ、相応の努力を行います。

期待と成果が結びつくことによって努力するという行動を選択し続けやすくなるため、持続性の高い動機づけといわれています。

・目標設定理論

目標とモチベーションの関係に着目した理論で、モチベーションを高めるには目標設定の方法が重要だとしています。

目標を達成することで、さらに次の目標を達成したくなるような好循環を生み出すためには、目標を自ら設定できる状況と達成可能な目標が必要です。

達成可能な目標とは、目標を達成するための行動や手段が明確に理解でき、自己効力感が得られるような目標のことで、決して低い目標を設定するということではありません。

組織においては単に決定した目標を与えるよりも、目標設定の場に参加させることがモチベーション向上に寄与すると考えられています。

仕事のモチベーションが上がらない理由と原因

何かに取り組むとき、「モチベーションが上がらない」と感じた経験はないでしょうか。

自身で理由に気づいている場合もあれば、なんとなくそう感じてしまうという状況もあるはずです。

モチベーションが上がらない理由は人それぞれで、原因もひとつではありません。

ここでは理由として考えられる、モチベーションを下げる原因について確認しましょう。

原因1:仕事内容のミスマッチ

関わる業務の向き、不向きはモチベーションに大きく影響します。

不向きな仕事では苦手意識が先行し、結果として成果を出しにくい状況が生まれます。

またそのような状況が続くことでますます意欲が低下するため、モチベーションの向上はおろか維持さえ難しくなってしまいます。

原因2:報酬に不満がある

仕事内容に報酬が見合っていない場合は、モチベーションの低下に繋がります。

ただし報酬とは、必ずしも金銭的なものではなく、自身にとって価値を感じる対象を指します。

例えば、仕事によって得られる経験を価値(報酬)と感じていた場合では、仕事が同じことの繰り返しになると新しい経験ができなくなり、報酬にも不満が生まれます。

原因3:人間関係に問題がある

人間関係も仕事のモチベーションに影響を与える原因のひとつです。

苦手な人と一緒に仕事をする場合は、緊張感やストレスからモチベーションが上がらないという状況が生まれる可能性もあります。

モチベーションは仕事の成果ややりがいにも大きく関係するため、自身が何によって動機づけされるのかを知っておくことが大切です。

また、プロジェクトマネジメントなどを行う際には、動機づけのポイントが一人ひとり異なることを念頭におき、メンバーのモチベーションを引き出すことが求められます。

時代や身をおく社会環境によっても人々の考え方は変化するため、モチベーションの観点から時代と人々の変化を捉えてみるのも面白いかもしれません。