モラールとは(読了時間:2分53秒)

モラールという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

似たような概念で、モチベーションという言葉がありますが、昨今の日本では、モチベーションの方がよく使われています。

では、モラールとは一体どのようなものなのでしょうか。

モラールの語源は?

モラル(moral)という言葉は、フランス語では「le moral」で「士気、意欲」の意味です。

また、同じくフランス語でモラール(morale)という言葉は、「道徳、倫理」を意味します。こちらは、la moraleと書きます。

この2つがアメリカに伝わった時に、両方が混ざり合ったり、意味が逆になったりしてしまい、モラール(morale)が「士気、意欲」、モラル(moral)が「道徳、倫理」という意味になりました。

そして、日本においてもアメリカから「モラール」の意味を輸入しているので、本来のフランス語とは逆の「士気、意欲」という意味となりました。

モラールとモチベーションの違い

よく私たちは日常生活においても「モチベーションが上がらない」などと使用します。

モチベーションはどちらかというと、個人のやる気や気力に焦点を当てていますが、モラールは、組織全体のやる気や気力に焦点を当てています。

言い換えると、組織が仕事に対してどのような意欲を持つかということです。

組織の士気がどのくらいのものであるかを調べることを、「モラールサーベイ」といいますが、これは人事や専門のコンサルタントが行います。

モラールは生産性の向上の指針であった

1980年代頃は、生産性を上げるために「モチベーションのアップ」ならぬ、「モラールアップ」が提唱されており、組織の士気を高めれば、生産性も向上されると考えられていました。

ですが、近年は全体のやる気などよりも、個人の能力や資質などがより重視され、合理的で効率の良い方法を模索するようになりました。

ですから、モラールの向上よりも、個人的なモチベーションの向上の方が、馴染むようになったのです。

これは、日本企業が組織全体よりも、「個人」に着目し始めた結果とも言えるでしょう。

モラールはリーダーシップによって導かれるものである

このように、モラールは全体、モチベーションは個人という分け方ができます。

ですので、組織全体の意識を向上させるためには、モラールを上げてくれる存在が必要となります。

それは、リーダーシップを持った人間です。

普通、組織の成果を高めるためには、常に軌道修正をかけられる有能なリーダーが必要とされます。

組織が間違った方向に進んでしまいそうな時は、ブレーキをかけたりするのも重要なことです。

モラールを向上させるためには、個人がばらばらに動くのではなく、統率を取れるリーダーが必要とされます。

モラールは使われない? モラールダウンとは何か

先にも述べましたが、モラールは1990年代にモチベーションという言葉が台頭してからは、聞くことが少なくなりました。

集団全体の士気を高めれば、生産性は向上するという簡単な論理では、仕事がうまく行かなくなったり、個人の能力が重要視されるようになってきたからです。

今では、一つの仕事を同時に同じ場所でやる必要もなくなりました。

インターネットの発達により、在宅でも仕事ができるようになったからです。

仕事の受発注も、メールやチャットを使って、個人間で行えますので、個人のモチベーションを上げる方法ばかりが注目されるようになりました。

個人の能力に焦点があたるにつれて、モラールという言葉はあまり使われなくなってきました。

ですが、モラールは職場の勤労意欲の維持という面では、まだ使える概念です。

たとえば、職場の人間関係や、労働条件、賃金などがあまり良くなければ、やる気は下がります。

1人が不満を持っている場合、大抵他の誰かも不満を持っていますし、それは仕事をする上での意欲低下になります。

これを「モラールダウン」といいます。

そのようなモラールダウンが起きないようにするのは、総務や人事の仕事であり、今注目されている労働環境の改善こそが、重要課題なのです。

モラールという言葉は、労務関係の面ではまだ見直されるべき点があるでしょう。

モラールは今や、モチベーションという言葉に取って代わってしまいましたが、本来は「全体の士気」という意味ですので、組織の統率を取るためには「モラールの向上」を意識する必要があります。

個々人のモチベーションをアップするためには、全体の士気を高める必要もあります。

リーダーとなる方は、常にモラールアップを意識せねばなりません。