ヒューリスティックとは(読了時間:2分52秒)

「ヒューリスティック」という言葉をご存知でしょうか。

マーケティングやIT分野、心理学などでも用いられる用語ですが、聞いたことがない方も多いかもしれません。

ヒューリスティックとは、思考方法の一種です。

意味や特徴を理解し、自分でも知らない間に身に付いている思考のクセについて考えてみましょう。

ヒューリスティックの意味

ヒューリスティック(heuristic)とは、経験をもとに問題解決を図ろうとする思考方法です。

常に正しい答えが出せるとは限りませんが、問題と過去の経験などを照らし合わせることで効率的に答えを出すことが可能です。

IT分野ではウイルスに対応するセキュリティのひとつに「ヒューリスティック検知」と呼ばれる方法があります。

過去のウイルスの動作情報をもとに、疑わしいプログラムを発見する方法です。

直感的な思考法であるヒューリスティックに対し、論理的に正しい解答を導く方法のことを「アルゴリズム」といいます。

ヒューリスティック分析

ヒューリスティック分析は、経験則を用いて行う分析方法のことです。

例えば、自社商品の開発のために競合企業の商品を分析する場合は、分析者自身が顧客の立場で経験した内容をもとに比較や評価を行います。

分析のために実際の顧客を集めたり、過去のデータを洗い出したりする必要がないため、すぐに調査・分析を行える点がメリットです。

一方で、主観的な視点で分析を行うため、思い込みなどによって誤った結果を導いてしまう可能性もあります。

そのため分析の精度を高めるには、ヒューリスティック分析の結果を仮説として役立て、裏づけとなるデータの収集や仮説検証を行うことが望ましいとされています。

心理学におけるヒューリスティック

認知心理学や社会心理学では、ヒューリスティックは主に以下の3つに分類されます。

代表性ヒューリスティック

代表性ヒューリスティックとは、ある出来事において典型的と考えられる特徴に反応し、物事を判断しようとする性質(思考のクセ)のことで、「検索容易性」ともいわれます。

実際の確率とは関係なく、限られた事例と照らし合わせることで「よくある」と思い込んで行われる判断です。

例えば、友人の血液型を当てるクイズを行ったとします。

その友人は周囲からマイペースだといわれています。

A型かB型のどちらかを当てる問題では、多くの人がB型と答えるでしょう。

ところが日本人の血液型の割合は、A型が約40%でB型は約20%です。

そのため確率で考えればA型である可能性が高いですが、血液型占いなどでよくみられるB型の特徴(=マイペース)に反応して、友人の血液型をB型と判断する人が多くなるのです。

利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックとは、すぐに思い出せる記憶に頼って情報や状況を判断してしまうことです。

頭に思い浮かびやすい記憶を、時間をかけて思い出す記憶よりも優先し、深く思考せずに判断を行います。

判断の瞬発力は高いですが、思い込みが含まれている場合が多くあります。

例えば、コンビニエンスストアと歯科医院の数について質問を行うと、多くの人がコンビニと回答します。

ところが実際に確認してみると、歯科医院は68,912施設で、コンビニは55,026店舗(2017年4月時点)。

コンビニの1.25倍も、歯科医院が存在していることが分かります。

これはよく利用するコンビニのほうが思い浮かびやすく、優先された結果といえるでしょう。

固着性ヒューリスティック

最初に提示された情報(数字や特徴など)が強く印象に残り、その後の判断や意思決定に影響を与えることです。アンカリングとも呼ばれます。

例えば、定価15,000円の洋服がセール中に7,500円で販売されていたとします。

価格ラベルには、割引前と割引後の価格(もしくは50%OFFなど)が記載されています。

普段は平均5,000円の洋服を買う人の場合、本来であれば7,500円の商品はいつもより高いと判断できるはずです。

ところが15,000円から半額に値引きされたという情報を先に提示されると、値引き額や割引率の印象が強く残り、安い(=買うほうが得かもしれない)と感じてしまうことがあるのです。

私たちが普段行う意思決定は、直感で判断していることが実は多くあります。

常に正しいとは限りませんができるだけ正解するよう、無意識のうちに過去の経験や記憶などをもとに判断を行っているのです。

また心理学におけるヒューリスティックの分類をみると、思考のクセや思い込みが間違った判断につながることが分かります。

大切な場面で納得のいく意思決定をするためには、自身の思考のクセを理解する必要があるかもしれません。