フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは(読了時間:2分50秒)

そんなつもりはなかったのに、あの人からの誘いはどうも断りづらい…。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

もしかしたらその人は「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれる心理テクニックを使ってあなたの心の懐に入り込んでいるかもしれません。

今回は、ビジネスや恋愛でも効果的な説得法として有名なフット・イン・ザ・ドア・テクニックについてご紹介していきます。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは?

ビジネスや恋愛など、対人的な場面での説得術として名高い「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」。

これは心理学において「段階的要請法」とも呼ばれる心理テクニックで、はじめに誰にでも受け入れてもらえそうな小さい要求を承諾させ、徐々に本当の目的である大きい要求を承諾してもらう説得術です。

人間の心理メカニズムとして、心の内に一貫性を保とうという働きがあります。

これは自分の行動や態度は一貫していたいという心理的な働きで、「一貫性の原理」とも呼ばれいます。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックもこの一貫性の原理を巧みに利用した技法です。

小さい要求でもそれを承諾すると、心理的な慣性が働いて、より大きい要求にも承諾しやすい傾向が生まれるといわれています。

ちなみに、フット・イン・ザ・ドア・テクニックの由来は、セールスマンが商談の際に片足をドアの間に入れて閉まらないようにしさえすれば、相手が拒否できずに商品を売ることができるという動作からきています。

また、フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは逆のテクニックであるドア・イン・ザ・フェイス・テクニックというものもあります。

こちらは先に受け入れ難い大きい要求を行った後に小さい要求を出し相手に譲歩させることにより承諾させる説得術です。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックの心理実験

フット・イン・ザ・ドア・テクニックの効果を示す心理実験はいくつかありますが、最も有名なものを一つご紹介しましょう。

この実験はフリードマンとフレーザーによって1966年に行われた心理実験で、このテクニックの効果を明確に示しています。

この実験ではまず、実験の協力者であるボランティアがカリフォルニア州の住民宅を訪れ、「安全運転」と書かれた小さいステッカーを車に貼って欲しいと要求(小さい要求)します。

そして、その2週間後に、別のボランティアが再度訪問し、下手な字で書かれており、家の景観を害するような「安全運転をしよう」という看板を庭に立てて欲しいと要求(大きい要求)しました。

その結果、いきなり家の庭先に看板を立てさせて欲しいと要求された住民がわずか17%しか承諾しなかったのに対して、事前に小さい要求を承諾した人で大きい要求も承諾した人はなんと76%にも上りました。

これは「小さい要求を承諾させた後は、その後の大きい要求も承諾しやすくなる」というフット・イン・ザ・ドア・テクニックの効果を証明する心理実験であるとしばしば引き合いに出されます。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックの実用例

フット・イン・ザ・ドア・テクニックは、日常のさまざまな場面で使われています。

たとえばある日突然友人から「1,000円貸して!」と言われたら、承諾してしまう人も多いでしょう。

そしてその後「じつは今月お小遣いが厳しくて、来週返すから3,000円、いや5,000円貸して!」と言われたら、いきなりその要求をぶつけられるよりもついつい貸してしまう可能性が上がるとされます。

また、営業やセールスなどの現場でも、フット・イン・ザ・ドア・テクニックはプロモーションのテクニックとして使われています。

たとえば、「化粧品の無料サンプルをお配りしているのでぜひ使ってみてください」と言われたら、多くの人が何の気なしに使うことでしょう。

しかし、その後「お使い頂いてありがとうございます。先日の化粧品お気に召したようでしたら、今なら50%オフの2,000円で購入できます」と言われたらついつい買ってしまうこともあるでしょう。

それには、一回小さい要求を承諾しているので、大きい要求も承諾されやすいというフット・イン・ザ・ドア・テクニックが使われます。

この他、恋愛の場面で気になる相手に、小さい要求を積み重ねて相手に「YES!」と言わせ、繰り返し承諾させることで、デートにこぎつけるテクニックもあります。

ここまで簡単にフット・イン・ザ・ドア・テクニックについてご紹介してまいりましたがいかがでしたでしょうか。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックの心理テクニックは、日常生活だけでなくビジネスや恋愛などさまざまなシーンで効果的に使える説得術です。

どうしても通したい要求があったら、このテクニックを活かすことで少し成功の可能性が上がるかもしれません。