ダイバーシティとは(読了時間:3分23秒)

日本は、「ダイバーシティが進んでいない」という声をよく耳にします。

ダイバーシティの語源は、「多様性」を意味する英語の「diversity」。

だとすると、ここでいうダイバーシティとは、どういったことを指しているのでしょうか。

ダイバーシティとは

ダイバーシティとは、「人材の多様性」を意味する言葉。

つまり、性別、年齢、国籍、価値観、働き方などの異なる、多様な従業員の雇用、もしくは、こうした多様な人々を積極的に企業に受け入れ、彼らの、さまざまな能力や発想を生かそうとする考え方を指します。

また、ダイバーシティで企業の競争力を高める経営手法は「ダイバーシティ・マネジメント」と呼ばれます

ダイバーシティ(diversity)の意味合いの変遷とその背景

もともと「多様性」を意味していたダイバーシティが、「人材の多様性」という意味合いで使われ始めたのは、60年代~70年代のアメリカからといわれます。

当時、アメリカでは、雇用機会均等法などの成立を契機に、人種や宗教的マイノリティー、女性などの雇用が進みました。

バラエティ豊かな人々の雇用の開始とともに、ダイバーシティに「多様な人材の雇用」の意味合いが加わったのです。

その後、80年代に入ってからは、「互いの違いを理解、尊重して仕事の生産性を上げる」という意味合いも含むようになっていきます。

この頃から、企業が、経営面の効果を上げる方策として、ダイバーシティに取り組み始めました。

この動きを、一段と進めたのが、87年に発表されたリポート「Workforce 2000」。

同リポートの「今後、女性、高齢者、移民などの労働力に占める割合が増加する一方、白人男性の割合は減少する」という予測を受け、企業存続のために多様な人材を活用せざるを得ないという認識が進み、ダイバーシティ・マネジメントが本格化していきました。

90年代以降は、多くのダイバーシティ・マネジメントの成功事例、研究結果から、「ダイバーシティは企業の競争優位性アップに不可欠である」という考えが、常識になっていきました。

この頃には、ダイバーシティは、「多様な人材の雇用、及びそこから生じる多様性の活用」を指す言葉として定着していたと思われます。

ダイバーシティの効果

さて、ここで、ダイバーシティを取り入れた企業の成功事例などから、ダイバーシティ導入の効果を整理しておきます。

主なものは、以下の4点といわれます。

(1)雇用機会均等という「社会的責任」を果たす
企業には、さまざまな個性を持った人々に働くチャンスを提供する社会的責任が求められています。

ダイバーシティを進めれば、この責任を果たすことになります。

(2)多様な視点を得る
消費者の嗜好が多様化する今、ヒット商品・サービスを生み出すためには、幅広いアイデアが必須になってきました。

個性豊かな人材を集めて、彼らの多様な視点を得られれば、企業の競争力アップにつながります。

(3)人口減少時代に、優秀な人材を確保する
性別、年齢などにこだわらず、さまざまな人々の中から人材を集めるようにすると、人口が減っても、逸材を確保できます。

(4)円滑に「グローバル化」する
多くの企業は、ビジネスを世界規模で広げる「グローバル化」を進めています。

異なる文化や価値観を持つ社員が働きやすい職場づくりにより、海外の国々でもスムースな事業展開を行いやすくなります。

日本におけるダイバーシティ

企業に多くのメリットをもたらすダイバーシティ。

その有効性とともにダイバーシティという言葉は日本に伝えられたのですが、実践面は進んでいないようです。

そもそも、アメリカに比べると、日本のダイバーシティの歴史は浅いものです。

雇用機会均等が議論されるようになったのは、男女雇用機会均等法が施行された1986年頃、ダイバーシティについては、ダイバーシティ研究を目的にした「日経連(日本経営者団体連盟)ダイバーシティ・ワークルール研究会」が設立された2000年頃からといいます。

この研究会設立前後から、「ダイバーシティ」という言葉や考え方が注目され始めたと思われます。

しかし、研究会立ち上げから10年以上経過した現在でも、ダイバーシティ・マネジメントで成果を上げている企業は少数派。

多くの日本企業にとってのダイバーシティは、男女間の格差解消レベルにとどまっていると指摘されています。

日本では、ダイバーシティという言葉は耳にするようになったものの、その実現は、これからという状態なのです。

遅れている理由の一つに挙げられているのが文化的背景。

「人それぞれ、価値観も嗜好も違う」といったダイバーシティの原点を受け入れにくい文化であるため、ダイバーシティが進まないというわけです。

しかし、どういう理由があろうとも、今後の人口減少やグローバル化を考えると、日本企業はダイバーシティを本格化せざるをえないと思われます。

ダイバーシティとは、性別、年齢、人種などの違う、さまざまな個性を持った人材を雇うこと、あるいは、それぞれの人の豊かな個性を、企業活動に活用しようとする考え方のこと。

ダイバーシティは企業の競争力向上に必須とされていますが、大半の日本企業では、まだ積極的に取り組まれていないようです。