文系と理系の違いは? 何を基準に選択すればいい?

高校2年に進級するとき、文系と理系のコース選択をする学校が多いはずです。

進学先を文系にするか理系にするかがここで決まるので、慎重に判断する必要があります。

しかし、自分が文系・理系のどちらに向いているのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。

そこで、文系と理系のちがいや選択する基準についてまとめました。





文系と理系の主なちがいとは?

文系と理系にはいくつか大きなちがいがあります。

主なちがいとしては、受験科目のちがい、大学3・4年次のゼミと研究室のちがい、将来選ぶことができる進路のちがいが挙げられます。

文系・理系の選択は慎重に検討すべきといわれることが多いのはこのためです。

それでは、具体的にどのようなちがいがあるのか1つずつ見ていきましょう。

大学入試における受験科目のちがい

文系と理系では、大学入試における受験科目に大きなちがいがあります。

下の表は、国立大学二次試験と私立大学について、一般的によく見られる受験科目の組み合わせをまとめたものです。

文系 理系
国立大学(二次試験) 英語・国語(・地歴) 数学Ⅲ・理科・英語
私立大学 英語・国語・社会or数学 数学Ⅲ・理科・英語

難関大学ほど必須科目数が多くなる傾向があり、理系では理科が2科目必要になったり、国語が必須科目に入っていたりします。

また、文系学部の中でも経済学部や栄養学部といった、文系・理系の境界が明確でない学部の場合、数学が必須科目となっていることも少なくありません。

大まかな捉え方としては、「文系は社会が必須」「理系は理科が必須」「文系・理系どちらも英語は必須」と覚えておくといいでしょう。

大学3・4年次に入るゼミと研究室のちがい

大学3・4年次になると、通常の講義のほかにゼミや研究室と呼ばれる授業を選択することになります。

一般的に文系学部では「ゼミ」と呼ばれ、理系学部では「研究室」と呼ばれる場合が多いです。

ゼミは学生が中心となって主体的に研究を進める演習形式の授業で、教授は学生の研究をサポートする側に回ります。

一方、研究室はその名の通り研究に打ち込むための部屋が割り当てられ、指導教授のもと学生が自分たちの決めたテーマに沿って実験を行います。

文系のゼミは週1回〜月1回程度であることが多いのに対して、理系の研究室では週に3〜4回の頻度で研究が行われるため、理系のほうが研究室にいる時間が長くなる傾向があります。

ゼミ・研究室とも、最終的には研究成果を論文としてまとめる点は同じです。

将来選ぶことができる進路のちがい

大学卒業後の進路としては、必ずしも学部・学科で学んだことを直接活かせる仕事に就く人ばかりではありません。

文系卒の人が営業職に就くケースが多いことから見ても、将来的な仕事内容と大学での研究内容が必ずしも合致しないことがわかります。

ただし、中には大学で学んだ専門知識がなければ就くことができない職業もあります。

具体的には、研究開発に携わる職種や医療系の職種については、大学でその分野の研究に携わった経験が必須となることがほとんどです。

見方を変えれば、理系学部卒の人が文系学部卒の人と同じ仕事に就くことはできますが、その逆は難しい場合もあるといえます。

研究開発職や医療系の職種に就きたいと考えている人は、はじめから理系を選択しておく必要があるでしょう。

文系・理系は何を基準に選択すればいい?

高校2年に進級する段階で文系・理系を選択するにあたって、どちらを選ぶべきか迷う人は少なくありません。

前で述べたとおり、文系・理系のどちらを選択するかによって、大学入学後だけでなく将来的な職業にも影響が及びますので、慎重に考える必要があります。

文系・理系どちらを選択すればいいか迷ったときは、主に次の観点から検討しておくといいでしょう。

得意な科目や好きな科目から選ぶ

高校2年に進級する時点で最もわかりやすい選択の基準は、その時点で得意な科目や好きな科目をもとに選ぶ方法です。

たとえば、数学や物理が好きで興味があれば、理系に進む適性があると考えられます。

反対に数学が極端に苦手だったり、物理や化学がどうしても好きになれないようであれば、文系にしておくほうが無難でしょう。

このように、理系へ進む上で適性があるかを考え、あまり適性がないと判断するのであれば文系にするという考え方が現実的です。

もちろん、「英語が好き」「歴史に興味がある」といった明確な理由があれば、はじめから文系に進むことを考えるのも1つの方法です。

もし文系・理系どちらに進むべきか迷うようであれば、まず理系でメインとなる数学や理科といった科目に興味関心を持てそうかどうかを基準に考えてみるといいでしょう。

日ごろの考え方や発想の傾向から選ぶ

文系と理系では、それぞれものの見方や考え方に特徴があります。

たとえば、日ごろニュースを見ていて、数値や法則などをもとに物事を考えたり判断したりしている傾向があれば、理系の素養を持った人の可能性があります。

これに対して、事件などに関わった人の心境や社会的・歴史的な背景といった面に関心を寄せる傾向がある人は、文系の素養を持っている可能性があります。

このほかにも、数字と自然言語のどちらに興味があるか、科学的な法則と社会的な事象のどちらをより詳しく知りたいと思うか、といったことも、文系・理系の素養を見極める上で有効な視点となり得るでしょう。

ただし、文系でありながら理系的な素養を持った人もいますし、その逆の人もたくさんいます。

文系と理系のどちらかに完全に分かれるわけではありませんので、自分の素養がどちらに近いかを知るための1つの目安と考えてください。

将来就きたい職業や興味関心で選ぶ

将来的にどのような仕事に就きたいか、どんなことで世の中に貢献していきたいかを基準に考えるのも1つの方法です。

法律に関わる仕事や営業、事務、学芸員といった職種に興味がある人は、文系学部で学んだ知見が役立つと考えられます。

生産技術や管理、技術職、医療などに興味がある人は、理系学部で習得する知識や技能を活かせるでしょう。

就きたい職業から大学での専攻を決めるのは、学ぶ上でのモチベーションを維持する上でも有効な方法です。

目指したい職業がまだ明確に決まっていないとしても、仕事内容について調べる中で興味を持てそうな分野の職業を見つけてみましょう。

興味のある仕事は文系・理系のどちらの素養を求められるのかを知ると、自分の興味関心が文系・理系のどちらなのか知る上での指標になります。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

文理選択をする際に注意しておきたいこと

文系・理系の選択は、一般的によく言われている「理系」「文系」のイメージが先入観になりやすいなど、注意しておくべき点がいくつかあります。

将来の進路を方向づけるかもしれない重要な決断ですので、周囲の情報に惑わされることなく、自分でしっかりと考えて決めることが大切です。

とくに次の2つの点については、文系・理系を選ぶにあたってよく誤解されていますので、前もって知っておくようにしましょう。

文系・理系は後天的な影響で決まる要素も少なくない

文系・理系を選択するにあたって、「自分の両親がどちらも文系なので」といった先天的な要素をもとに判断する場合があります。

しかし、文系・理系は生まれ持った脳の特性だけでなく、成長過程での体験や周囲の人からの影響によって後天的に決まる部分も少なくありません。

また、人の興味関心は成長とともに移り変わることがありますので、過去に関心を寄せていたことだけでなく、今現在どうであるかを元に考えることも重要です。

たとえば、幼少期に昆虫に興味があった人でも、成長とともに昆虫をつかまえたり飼ったりしなくなるのは、成長に伴って興味関心が移り変わっているからです。

このように、先天的な要素や幼少期の体験にあまり偏ってしまわず、今現在、そして今後どのように学んでいきたいのかを中心に考えるようにしましょう。

最近は文系・理系の垣根がない学問も増えている

文系・理系の分類は、そもそも学問をグループ分けするための便宜的なものです。

学問の優劣や有効性を決めるためのものではありませんので、文系・理系のどちらを選ぶかは個人の興味関心によります。

近年では学問の細分化が進み、文系・理系の垣根がない分野も増えています。

たとえば経済学や社会学の分野では統計など数値データを元に法則を見出すことも多く、数学の力が求められる場面もよく見られます。

IT系など技術分野の仕事においても、文系出身者が数多く働いています。

「数学が好きなので理系」「化学が苦手なので文系」と性急に判断してしまわず、自分の興味関心や将来やりたいことをじっくりと考えることが大切です。

その上で、必要であれば文系を選択しても数学に力を入れて勉強したり、理系であっても英語を重視したりする場合もあるのです。

この記事のまとめ

文系・理系の選択によって、将来の進路にも影響が及ぶことは少なからずあります。

しかし、文系・理系の適性は「人が好きか物が好きか」「数字と実社会のどちらに興味があるか」といった固定的な判断基準で見極めるべきではありません。

いま好きな科目や大学の難易度など身近なことだけでなく、将来の進路や働き方といった先々の見通しを立てて文系・理系を選択するようにしましょう。

30秒でわかる!転職サービス診断

当サイト人気の転職エージェント