地方公務員の非常勤職員・臨時職員とは?

地方公務員の雇用形態に注目してみると、「非常勤職員」「臨時職員」という言葉に出会うことがあります。

何となく似たような言葉にも思えるかもしれませんが、両者には明確な違いがあります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

非常勤職員とは?

非正規で、専門的な知識を持って働く職員

非常勤職員とは、「一定期間に専門的知識を持つ職員を必要とする場合に雇用される職員」のことを意味しています。

非常勤職員は非正規職員であり、地方公務員法上では「特別職」に分類されます。

実は、全国の地方公務員のうち、3分の1程度はこの非常勤職員だとされています。

その背景には、公務員の人員削減の動きが強まっているなかで、人件費を抑えながらも複雑化している業務に対応できる人を集めたいという理由があるようです。

非常勤職員の働き方

非常勤職員は1週間のうち決まった日や時間のみ勤務することが多くなっています。

ただし非常勤職員に関する条例は自治体によって異なっており、正規雇用の人と同じようにフルタイムで働く人もいます。

また、任用期間は1年以内と定められているところもあれば、それ以上のところもあるなどまちまちです。

実際の業務は、正規の職員と同等のことを行う場合も多く、事務職であればデスクワークや窓口対応などを中心に任されます。

雑務もたくさんありますので、配属先によっては非常に忙しく働くこともあるようです。

非常勤職員の給料・待遇

非常勤職員の給料や待遇は、自治体や仕事内容によって異なります。

給料は「月額〇〇円」という形で示されていることもあれば、「日額」で示されることもあり、勤務条件や仕事内容によってどの程度のお金がもらえるかは異なります。

ボーナスの支給はない場合が一般的ですが、非常勤では副業が認められているケースが多いようです。

そのため、別の仕事と非常勤職員としての仕事を掛け持ちしている人も少なくありません。

非常勤職員として働くには

地方公務員の非常勤職員の募集は、各自治体で行われています。

自治体のホームページの「採用情報」を覗いてみると、さまざまな募集が出ています。

基本的には事務系の仕事が中心ですが、保育や教育、看護、給食、文化、スポーツなど、地域で行われているさまざまな取り組みに関わる求人が出されることもあります。

臨時職員とは?

臨時的に採用される非正規の職員

期間の定めなくフルタイムで働く正規職員以外の非正規職員として働く職員のうち、「正規職員が一時的に欠けるなどの緊急の場合や、臨時の職がある場合などに採用される人」のことを臨時職員といいます。

臨時職員は、正式には「臨時的任用職員」といい、地方公務員法22条によって任用されます。

地方公務員の臨時職員の雇用期間は、「原則として6ヵ月を超えないこと」となっています。

一度だけ更新が可能であり、そこからまた6ヵ月雇用される、つまり合計1年間経つと雇止めになるということが法律で定められています。

ただし、実態としては、1年間の期間が終了してから1日や1週間などの空白期間を置き、再度任期を更新する自治体が多いようです。

臨時職員の働き方

臨時職員は、コピーとり、配達、お茶くみ、パソコンでの簡単な事務作業など、いわゆる雑用と正規職員の補助業務が中心となります。

事務職といっても、複雑な仕事を任されるケースはほぼないようです。

ただし、事務ではなく、保育士など専門職の仕事が臨時職員として募集されることもあります。

臨時職員の給料・待遇

パートタイムで働くケースが多い臨時職員の給料は一般的に日給制あるいは時給制となっています。

そのため、高額な収入を得ることは難しく、年収にすると200万円に満たない人が大半といわれています。

ボーナスの支給は基本的にありません。

いわゆるパート・アルバイトとしての感覚で働く人が多いようです。

臨時職員として働くには

地方公務員の臨時職員募集は、自治体のホームページやハローワークなどで掲載されます。

正職員になる場合のような学力を問う筆記試験を行うところはあまりなく、作文や面接が実施されることが多いようです。

また、登録制となっており、事前に自治体の人事課などに問い合わせて登録しておくことで、募集があった際に声がかかるケースもあるようです。人気のある自治体では順番待ちにもなります。

そのほか、臨時職員の場合は職員からの紹介など、人脈によって採用されるケースも比較的多いとされています。

新たに「会計年度任用職員」制度がスタート


令和2年4月に施行される地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律によって、現在の非常勤職員(一部の特別職の非常勤職員を除く)と臨時職員は「会計年度任用職員」として任用される
ことになります。

会計年度任用職員は、一般職の地方公務員として、地方公務員法に定める様々な服務規程が適用されます。

これまで、具体的な労働条件は各自治体で定められていましたが、その内容は自治体によってだいぶ差が出ているのが実情でした。

その結果、正規職員と同じような業務を任されているにも関わらず、安い給料で働いていた人も多くいたようです。

しかし、今後は地方公務員法で法律で定められている事項が会計年度任用職員として雇用される人全員に適用されるため、待遇が改善されていくものと考えられています。

現在、役所等で非常勤職員や臨時職員は、新たに会計年度任用職員として募集、選考され、任用されることになります。