国家公務員と地方公務員の違いは? 【仕事内容・難易度・給料の違いを解説】
簡単に言えば、国家公務員は国全体の運営にかかわる仕事を、地方公務員は地域住民の生活に密着した仕事を行うという違いがあります。
この記事では、国家公務員と地方公務員の違いを、仕事内容や難易度、給料の面から、わかりやすくまとめました。
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国家公務員と地方公務員の違い【職種と仕事内容】
- 国家公務員:国家の運営に関連した業務を行う
- 地方公務員:住民の生活に密着した業務を行う
国家公務員と地方公務員の違いをざっくり述べると上記の通りです。
この章では、国家公務員と地方公務員の違いを、職種や人数、仕事内容から見ていきます。
国家公務員と地方公務員の職種と人数【ほとんどが地方公務員】
人事院「公務員の種類と数(令和元年度)」より
国家公務員と地方公務員の職種・構成・人数を図にすると上のようになっています。
人事院によると、令和元年の国家公務員は58.6万人、地方公務員は273.9万人で、公務員の8割以上が地方公務員であることがわかります。
人事院の区分ですと、国家公務員は特別職と一般職とに分けられていますが、いわゆるキャリア官僚、国家総合職もこの「一般職」の区分に入っています。
- 特別職:大臣、政務官、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省職員など
- 一般職:省庁で働く国家総合職・一般職
国家公務員と地方公務員の仕事の違い
ひとことで「公務員」といっても、その種類や仕事内容は多岐に渡ります。
国家公務員と地方公務員の違いを見ていくとき、最もわかりやすいのは役割の違いです。
大まかにいうと、国家公務員が国家の運営に関連した業務を行うのに対し、地方公務員は住民の生活に密着した業務を行います。
国家公務員の仕事
国家公務員は、中央省庁や外局・国会・裁判所などの国家機関に勤務して、全国あるいは国際社会を視野に入れた企画の立案・執行に携わるため、その仕事のスケールも非常に大きなものとなります。
具体的には、政策立案、予算編成、法令整備、国会対応、統計調査、渉外など、国家の運営に直結する大きなプロジェクトに携わります。
地方公務員の仕事
地方公務員は、県庁や市役所をはじめとする自治体組織に勤務します。
地方行政から企画の立案・執行に携わるため、国家公務員と比べると仕事のスケールは小さくなりますが、プロジェクトの全体を通して携わることができたり、地域住民に密着した仕事ができるという特徴があります。
具体的には、健康の促進、環境整備、教育や福祉の充実、文化やスポーツ活動の推進など、住民の生活をよりよくするための仕事に深く携わっていきます。
国家公務員・地方公務員になる方法の違い
国家公務員と地方公務員とでは、なるまでのルートが異なります。
なお、どちらを目指すにしても必須の資格は基本的にはありませんから、誰にでも試験を受けて合格すればなるチャンスがあります。
この章では、国家公務員と地方公務員のなり方の違いを紹介します。
受ける試験が異なる
国家公務員と地方公務員では、受けるべき試験が違います。
✅ 国家公務員・地方公務員が受ける試験の違い
試験 | 職種 | 仕事内容 | |
国家公務員 | 国家公務員試験 | 総合職 | 政策の企画・立案等の高度な知識や技術等を要する業務 |
一般職 | 事務処理等の定型的な業務 | ||
地方公務員 | 地方公務員試験 | 上級(大卒程度) | 幹部候補。都道府県庁などで勤務 |
中級(短大卒程度) | 役所・学校・警察署での事務など | ||
初級(高卒程度) |
国家公務員になるためには人事院が行う「国家公務員試験」を受ける必要があります。
国家公務員試験は大きく「総合職」と「一般職」に分かれており、前者は主として政策の企画・立案等の高度な知識や技術等を要する業務を担い、後者はおもに事務処理等の定型的な業務を担当します。
このほか、専門的な知識・スキルが求められる国税専門官、財務専門官、労働基準監督官、航空管制官、外務省専門職員、航空保安大学校学生、海上保安学校学生、海上保安大学校学生、気象大学校学生になるための「専門職試験」も別途行われています。
一方、地方公務員になるためには、それぞれの自治体ごとに行われる「地方公務員試験」を受ける必要があります。
地方公務員試験は、基本的に「上級(大卒程度)」「中級(短大卒程度)」「初級(高卒程度)」に分かれており、採用後は、さまざまな部署を経験しながら特性に合わせた職場に就きます。
「事務職」として行政事務や学校事務、警察事務、消防事務に携わる人のほか、「資格免許職」として福祉や保育士、保健師、栄養士として働く人、また「公安職」として警察官や消防官として働く人など、地方公務員の職場や仕事内容は多岐に渡ります。
国家公務員と地方公務員で試験の難易度に違いはある?
国家公務員、地方公務員と一口に行っても職種によって試験の難易度は異なります。
例えば、国家公務員の一般職よりも、政令指定都市や東京都などの地方上級公務員試験の方が難易度が高いといわれます。
ただし、国家公務員の総合職試験は非常に難易度が高いとされ、国立大学や難関私立大学の学生が中心に受験します。
- 東京大学 249名
- 京都大学 131名
- 早稲田大学 90名
- 北海道大学 69名
- 東北大学 65名
国家公務員の総合職試験は、大学に通いながら専門のスクールで学び合格を目指す人も多いです。
国家公務員になるには
国家公務員・地方公務員を目指すのに有利な学校や資格はある?
国家公務員、地方公務員ともに、どのような仕事をするのかによって必要な資格やスキルは変わってきますが、公務員試験を受ける際には特別な資格は基本的に必要ありません。
各試験で定められている年齢・学歴等の応募資格を満たしていれば、受験できる場合がほとんどです。
実際に業務上必要な資格やスキルは、配属後に各職場での研修・教育や実務を通じて身につけていくことになります。
ただし、高い英語力があると採用時に有利になったり、大学などで専門分野についてしっかりと学んでいるとプラスになることもあります。
職種や試験によっても大きく異なるので、自分が目指す公務員で求められる資格やスキルを事前に確認しておくとよいでしょう。
国家公務員と地方公務員の給料・待遇の違い
国家公務員と地方公務員とで給料や待遇に差があるのでしょうか。
この章では給料・年収に焦点を当てて、国家公務員と地方公務員の違いを紹介します。
国家公務員と地方公務員の給料の違い
- 国家公務員:417,683円
- 地方公務員:362,047円
参考:人事院給与局「平成31年 国家公務員給与等実態調査報告書」
参考:総務省「平成31年 地方公務員給与実態調査結果等の概要」
国家公務員、地方公務員と一口にいっても、職種や階級によって給与には差があります。
また、地方公務員は自治体ごとに給料が決まっているため、都市部と地方では平均年収に200万円以上の差があることも。
ただし、平均で見た場合には国家公務員の方が年収が高くなるといえます。
国家公務員の方が給料が高いことが多い
国家公務員と地方公務員の給料を比較すると、国家公務員のほうが高い傾向です。
地方公務員といっても多様な職種があるので一概にはいえませんが、国家公務員の方が給料が高い傾向にあるのには、給料の決まり方に理由があります。
- 国家公務員:民間企業の賃金を基に、人事院によって管理
- 地方公務員:国家公務員の給与金額を参考として決定
地方公務員の給料は国家公務員の給料の額を参考にして決まり、国家公務員の給与を超えることはあまり一般的ではありません。
なお、国家公務員も地方公務員も、勤続年数が増えたり、役職が上がっていったりすることで基本給がアップし、それに伴いもらえるボーナスの金額も増えます。
どちらも景気によって給料が変動するのが特徴ですが、生活が苦しくなるほどの大幅な給料カットはないといえます。
基本給以外にもらえるさまざまな手当については、公務員は全般的に充実しているといえますが、国家公務員のほうが地域手当等をたくさんもらえることが多いようです。
それ以外の待遇(休暇制度)などは、国家公務員も地方公務員も同じように充実傾向にありますが、地方公務員は各自治体の状況に依存してくるため、どこで働くのかによっても変わってくるといえるでしょう。
国家公務員と地方公務員、どっちを目指すのがおすすめ?
ここで見てきたように、国家公務員と地方公務員は、その役割からなるためのルート、給料などにまで違いがあります。
ただし、どちらになるとしてもさまざまな仕事があり、配属先も多岐にわたりますので、漠然と「公務員になりたい」と考えている人は、まずは自分がどのような働き方をしたいのかを考えてみるとよいでしょう。
国直属の組織にて、責任のある仕事をしたいのであれば国家公務員のほうがよりやりがいを感じられるでしょうし、もっと身近な地域のために貢献したいのであれば地方公務員に魅力を感じるかもしれません。
どの公務員を目指すかによって受験すべき試験の種類も変わってきますので、できるだけ早い段階で情報を集め、対策をとれるように考えていくのをおすすめします。
国家公務員と地方公務員の違い|まとめ
- 国家公務員は国家の運営、地方公務員は地域の生活に密着した業務
- 「国家公務員試験」「地方公務員試験」で受ける試験が異なる
- 職種によってなる難易度や給与は異なる
仕事内容の違いでいうと、国家公務員は法律を決めるなどの国全体にかかわるスケールの大きな仕事、地方公務員は地域住民に寄り添い具体的な施策を行う仕事、ということになります。
どちらの方が良い、優れている、というものではなく、自分のやりたい仕事をイメージして、どちらを目指すのかを決めるのが大切です。