査察指導員になるには? 仕事内容や必要な資格は?

ケースワーカーを志す人やケースワーカーとして働く人のなかには、査察指導員という仕事に関心を寄せる人もいるでしょう。

この記事では、査察指導員の仕事内容や資格について紹介します。

査察指導員の仕事内容

生活保護申請者を調査し、面接を行う

査察指導員は、生活保護の受給申請者に対して、受給資格があるか調査する仕事です。

生活保護の申請自体は、ケースワーカーが受け付けます。

査察指導員は福祉事務所に在籍する7名のケースワーカーにつき1名配置することが法律(福祉事業法)によって義務付けられています。

ケースワーカーのスーパーバイザーとして指導、助言を行い、業務全体の進行管理を行います。
※2018年11月現在

このようなケースワーカーが受け付けた生活保護の申請書類を確認し、車や不動産など財産となるものはないか、扶養義務のある家族はいないかなどを調査します。

扶養義務のある家族の所在が判明した場合、家族に対して扶養するように要請することも業務に含まれています。

本当に受給資格があるのか、そして生活保護の制度を改めて説明し、本当に受給する明確な意思があるのかについて、申請者に面接を行うのも査察指導員の仕事です。

査察指導員になるには

公務員になってケースワーカーの実績を積む
査察指導員になるためには、大学または短大にて社会福祉主事任用資格を取得する必要があります。

その上で、福祉事務所で働く査察指導員は、これらを管轄する都道府県あるいは市の公務員試験に合格しなければいけません。

公務員試験に合格しても必ず福祉事務所に配属されるとは限りませんが、もしも福祉事務所に配属されたら、まずはケースワーカーとしての経験を積みます。

経験に加えて、複数名のケースワーカーをマネジメントできるかどうかという人間性も評価されます。

ケースワーカーとしての実績と人間性が認められた人のみが、査察指導員に任命されるのです。

査察指導員の給料・年収

公務員として安定した収入を得られる
上述のとおり、査察指導員は公務員ですから、公務員の等級に従った給与が支払われます。

厚生労働省によると、査察指導員の等級は行政職の4級に当たります。

4級の中でも号俸(職階による給与)の差によって月給にもかなりの差があります。

それでも、最低でも月に271,400円、最高で403,000円の月給が支給されます。

そのため、賞与を入れた年収額はおよそ400万円〜600万円となります。

しかし、等級も号俸も上がるまで転属なしに福祉職でいることは難しいため、実際は400万円〜500万円程度となるでしょう。

参考:厚生労働省

査察指導員に向いている人、適性

福祉への専門性とリーダーシップがある人
生活保護の不正受給者が増えている現代では、査察指導員の厳しい調査によって、不当に生活保護を受ける人を減らし、本当に必要な人に支給するという「ふるい」が必要です。

そのため、査察指導員には法律、社会保障といった社会福祉に関する専門性を有した人物が向いているといえます。

それだけではなく、7名程度のケースワーカーをとりまとめ、スーパーバイズを行う査察指導員には、組織をけん引し、ケースワーカーのミスを指摘・修正し、教育を行えるだけのリーダーシップが必要とされるでしょう。

査察指導員の将来性・今後の見通し

不正受給者減少をめざす日本では必要とされる存在
査察指導員は公務員であり、一般企業で言えば係長クラスの役職のため、給与は安定しており、今後もこの仕事がなくなることは考えられません。

日本の社会保障制度が変わらない限り、不正受給者減少をめざす日本社会では、今後も長く活躍できる仕事といえます。

しかし、日本経済が不景気続きになると、生活保護申請者数も増加するため、査察指導員の仕事量はこれからさらに増えていくでしょう。

査察指導員の仕事内容のまとめ

査察指導員は、生活保護の受給申請者に対して、受給資格があるか調査する仕事です。

査察指導員は福祉事務所に在籍する7名のケースワーカーにつき1名配置することが福祉事業法によって義務付けられています。

社会福祉主事任用資格を得て公務員試験に合格し、ケースワーカーになったからといって誰もが査察指導員になれるわけではありません。

社会福祉に関する専門性を有し、リーダーシップのある人物が査察指導員に向いているといえます。

そして、ケースワーカーとしての実績と人間性が認められた人のみが、査察指導員に任命されるのです。

日本の社会保障制度が変わらない限り、不正受給者減少をめざす日本社会では、今後も長く活躍できる仕事といえます。