美容師の仕事で大切にしていること (体験談)

プライドのベクトル

職人でもあり、サービス業でもある美容師は、仕事への取り組みに自分なりのこだわりがあるものです。私の場合は、お客様本意でできるだけ物事を考えるようにしています。

例えば、お店のインテリアや、着る洋服や、かかっている音楽等です。インテリアはボリュームゾーンである20歳〜30歳までの女性のお客様が好きそうな家具を揃えていますし、音楽も自分の趣味ではなく心地の良い音楽にするよう心がけています。

洋服はカットラインが見えやすいように、できるだけインナーのシャツやカットソーは白っぽい服を選んで着ています。おそらくお客様はそのような気遣いは知らずにご来店して下さいます。それが私にとってのプライドです。

サービスというものは相手に伝わってしまうと、サービスではなくなるという持論があります。ですから、できるだけ伝わることない細部にこだわったサービスを提供するように心がけています。

何故細部にこだわっているかというと、他のお店がやっているから、やっていないからと考えるのではなく、ニーズがどこにあるのか、自分がこだわりをもっている事柄は果たしてお客様が本当に求めているものなのか、独りよがりになっていないか、と日々模索することで自分独自のサービスになるのではないかと考えているからです。

技術の提供以外に

カットが上手な美容師は世界中に溢れかえっています。もちろん技術が高いことは大変素晴らしいことです。逆に言うと、当然のことでもあります。

たくさんの雑誌や専門書でカット技法が紹介されています。デビュー前、デビュー後に多くの専門書を読むことになるでしょう。

ですが、一番必要なものは上手なことではありません。これは下手でかまわないという意味ではありませんが、一番大切なことではないということです。

もしあなたがたくさんの人々を、美容を通して幸せにしたいと思うのであれば、第一に「魅力的な人間」になることです。

例えば支持を集めるミュージシャンは歌が上手ではないことがあります。彼らは歌唱力で支持を得ていないのです。また、とんでもなく歌唱力があるのに、支持を得られない人たちがいます。この違いは一体なんなのでしょうか。

つまり、人から支持をされ、多くの人をあなたの手で幸せにしたいのであれば、技術向上は当然のことで、それ以前に自分自身が魅力的にならなければいけないということだと思います。

少なくとも私は、仕事をする上で必要な人間性は、美容以外から吸収するよう心がけています。

たくさんの映画を観て、時には難しい書物も読み、エンターテイメントの素晴らしさに感動し、仲間の幸せを多いに祝う。そんなバランスのとれた人間になることが、仕事を通して人々に幸せを分け与えられる一番の近道なのではないかと私は考えています。

仕事体験談