弁理士のつらいこと・大変なこと・苦労

弁理士のつらいこと・大変なこと

さまざまな期限に追われる

知的財産の出願申請は、それぞれの手続きの段階ごとに明確に期限が設けられています。

会社間や個人間など、民間取引の場合は先方と交渉して期限を延長してもらうこともできますが、特許庁に対しては各申請者の公平性を保つという意味もあり、事情は一切斟酌されません。

たとえば、特許庁から「拒絶理由通知」を受けたにも関わらず、意見書や補正書を期限までに作成・提出できなかった場合、その時点で権利化は失敗となり、クライアントにとって大きな損失となります。

しかし、弁理士は通常、複数の案件を抱えて同時並行で仕事をこなしているため、ときには締切が重なることもあり、厳しいスケジュールに追われるケースもあります。

そのうえ、弁理士はあくまで代理人業であり、依頼者からの意見や指示がなければ書類作成に取り掛かることもできず、期限が刻一刻と迫るなかで連絡を待たなければならないときもあります。

失敗できないというプレッシャーにさらされながら、数多くの締め切りに追われて神経をすり減らすという点が、弁理士のつらさといえるでしょう。

多様なスキルを求められる

特許を出願申請するにあたって提出しなければならないもののなかに、「明細書」という書類があります。

これは、特許に用いられている技術や独自性について、特許庁の審査官に説明するための書類ですが、明細書を作るためには、まず弁理士自身がその新技術について完璧に理解していることが不可欠です。

そのうえで、とくに専門知識を持たない人でもわかるように、表現方法を工夫して書類を作成することが必要になりますが、ボリュームはA4用紙にして数十枚におよぶこともあり、大変な労力がかかります。

このため、弁理士は特許法をはじめとした法律知識だけでなく、出願対象となる技術の知識や、専門的な内容を簡潔にまとめる構成力、説明するための文章力なども求められます。

多様なスキルを高い次元で兼ね備えなければならないという点が、弁理士業務の大変なところです。

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弁理士の悩み

新しい技術や製品は日々開発されていくため、弁理士は現役である限り、知識を増やすために勉強し続けなければなりません。

さらに、業務の根幹である特許法などの法律も、時代の変化に応じて頻繁に改正されまることから、法律の勉強も欠かすことはできません。

そのうえ、近年は国際出願案件も増加傾向にあるため、一連の業務をすべて外国語で行わないといけないケースも増えつつあり、語学を勉強しないといけないときもあります。

弁理士は、学ぶべき内容と分野が非常に多く、自己研鑽に多大な時間を費やさなければならないところが悩みといえるでしょう。

年がら年中仕事の締め切りに追われるうえ、勉強時間も捻出しなければならない弁理士は、あまりゆっくりと休めるときは少ないかもしれません。

弁理士を辞める理由で多いものは?

弁理士は難関国家資格であるものの、資格さえあれば食っていけるという類のものではありません。

活躍するためには、場数を踏んでノウハウを蓄積したり、専門分野を勉強したりして、各個人が実力を養っていく必要があります。

また、弁理士の仕事は、権利化の成功・失敗というわかりやすい形で成否が表れるため、自分の実力にごまかしも効きません。

権利化に失敗し続けると、やがて依頼そのものがなくなってしまうため、実力が伴わない人は、たとえ辞めたくなくても辞めざるを得ないのが、実力主義である弁理士の世界です。

そういう意味合いにおいては、弁理士という職業は、スポーツ選手などと似通っているかもしれません。

とくに近年では、弁理士の資格保有者が1万人を超えている一方、出願件数自体は右肩下がりの状況にあるため競争はより厳しさを増しており、さらに高い実力が求められるようになっています。